前川彰司さんに再審無罪(福井女子中学生殺人事件 再審公判)
前川彰司さんが再審を求めていた福井女子中学生殺人事件の再審公判の判決言い渡しが 7月18日の午後2時、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)でおこなわれました。名古屋高裁は、35年前に一審・福井地裁が出した無罪判決を支持して、検察側の控訴を棄却しました。裁判長は判決言い渡し後、前川さんに謝罪しました。
14時すぎ、判決の主文を聞いた弁護団が裁判所の門前に現れると、待機する支援者に向けて、「検察官の控訴を棄却」「前川さんは無罪」と書いた幕を掲げて示しました。支援者の拍手に包まれ、「前川さんおめでとー」と声があがりました。

再審公判では、前川さんの自白や物的な証拠、犯行の目撃情報がない中で関係者の供述や証言の信用性が争点となっていました。増田裁判長は、主要証人らの証言は、警察による誘導や不当な利益供与の影響を受けた疑いが強く、客観的裏付けに乏しいと指摘。「うその供述に沿った関係者の供述が形成された合理的疑いが払拭できず、関係者の供述はいずれも信用できない」と切り捨て、検察側の立証は合理的疑いを超えず、原判決の事実認定は妥当と判断しました。
また、警察・検察の不公正な捜査・訴訟活動にも厳しい批判がなされました。
判決は、警察官が利益供与をして関係者の供述を誘導したことについて、「供述を汚染させる結果となった可能性が否定できない」とし、捜査側に都合のいい証言をした者に現金を渡したことについても「職務の公正さの観点からも、到底看過することはできない」と厳しく断じました。
また、事実と矛盾した供述であることを把握しながら訴訟活動を継続した検察官に対して、「不利益な事実を隠そうとする不公正な意図があったといわれても仕方がない訴訟活動に及んでいる」と指摘。このような活動がなければ、再審請求よりも前に無罪が確定していた可能性が十分に考えられるとし、「公益の代表者としての職責に照らし、率直に言って失望を禁じ得ない」と強く非難しました。
増田裁判長は、判決を言い渡したあと、39年もの間、前川さんに苦労をかけたことについて、「申し訳なく思います」と謝罪。「事件にかかわった裁判官として重く受け止めている」などと述べました。
しかし、まだ検察官は上告する権限を手放していません。検察が「上告をしない」と表明し、無罪が確定するまで、国民救援会では、検察官に対して上告をしないよう求める団体署名行動を呼びかけています。
署名の返送はファックス・メールで受け付けています。お預かりした署名は、国民救援会が名古屋高検、同金沢支部、最高検に提出し要請します。要請は、最高裁への上告期限の8月1日(金)もしくは検察が上告断念を表明するまでおこないます。
翌7月19日、日本国民救援会は声明を発表しました。
【団体署名】上告断念を求める団体署名用紙.doc
【声明】再審無罪判決に対する国民救援会の声明(2025-07-09)