愛知・豊川幼児殺人事件で最高裁が再審を認めない決定
最高裁判所第二小法廷(尾島明裁判長)は、3月16日付けで、豊川幼児殺人事件の再審請求の特別抗告審で、田邉雅樹さんの再審請求を棄却する決定を行いました。
この事件は2002年、愛知県豊川市で当時1歳10か月の男児が連れ去られ殺害されたとされるものです。物的証拠や目撃証言はなく、捜査段階の取り調べによる自白が有罪の根拠とされました。田邉さんは一貫して無実を訴え、一審は無罪判決でしたが、二審で逆転有罪となり、懲役17年の刑が確定しました。
2016年の再審請求以降、弁護団は証拠構造の脆弱性を指摘し、新証拠の提出と証拠開示、事実調べを求めてきました。しかし裁判所はこれに応じず、今回の決定でも新証拠を調べることなく請求を棄却しました。
今回の決定は、刑事裁判において最も重視されるべき真実の発見に背を向けるものであり看過できません。こうした証拠開示に対する裁判所の「逃げ腰」の背景には、再審法の重大な不備があると指摘せざるを得ません。検察官に証拠開示を義務付ける規定がないもとで、裁判所は開示命令を避け、検察官も法的根拠がないことを盾に開示を拒み続けています。この構造こそが、再審での誤判救済を困難にしています。近く始まる再審法改正の国会審議においては、証拠開示の全面的義務化をはじめ、真実発見に資する抜本的な制度改革が強く求められます。

