■事件の概要
2008年7月、匿名の告発をきっかけに、静岡県教育委員会は2006年に天竜林業高校の校長(当時)だった北川さんが教諭4人に成績調査書の改ざんを指示したとして、県警に刑事告訴しました。県警は北川さんを2件の虚偽有印公文書作成の容疑で逮捕し、4人の教諭は容疑を認めて起訴猶予となりました。さらに、成績を改ざんした謝礼として生徒Xの祖父・中谷良作氏から現金20万円を受け取ったとして、加重収賄容疑として、北川さんは再逮捕されました。現金を渡したとされる中谷氏は、略式起訴、罰金70万円の有罪判決を受けました。

北川さんは345日間にわたって身柄拘束されながら、一貫して容疑を否認。最高裁まで争いましたが、2010年、懲役2年6月・執行猶予4年、追徴金20万円の有罪判決が確定しました。

校長の指示で」と4人が口裏合わせ

検察の主張は以下の通りです。
生徒指導要録・調査書の作成等校務全般を総括していた北川さんは3年生の生徒Xの成績等が記載された調査書を改ざんしようと企て、教員A、Bと共謀して実際は3・1であった成績を科目別評定値を加算するなどして、3・5とし、公印を押印させて虚偽の有印公文書を作成したとされています。また校長室内において、生徒XをT大学に推薦するに当たり、有利便宜な取り計らいをしたことの謝礼等の趣旨でXの祖父中谷氏から現金合計20万円を受け取ったというものです。

別の生徒Yに関しては、調査書の平均値を4・3としたとされています。警察の捜査で、問題となっている2人の生徒の成績改ざんがおこなわれたことと、それにかかわった教員がいることは明らかになっています。しかし、北川さんがそれを指示したことと、中谷氏が北川さんに謝礼を渡した証拠はなく、あるのは捜査段階での中谷氏と教員4人の供述だけです。

教育熱心な北川さん「改ざんなどしない」
天竜林業高校は、当時日本で唯一の林業高校でしたが、廃校計画もあり、北川さんは、それに反対し教育活動に熱心にとりくんでいました。北川さんは成績改ざんなど一切おこなっていないと、2014年4月、静岡地裁浜松支部に再審請求を申し立てました。新証拠として、以下のような主張をしています。

・中谷氏は任意の段階で30日近い警察の取調べを受け、最初は否認していましたが、「孫と一緒に坂を転げ落ちてもいいのか」、「こんな大事なことを頼んで何もお礼をしていないのがおかしいじゃないか。なんかやっただろう」と責められ、「自白」させられました。中谷氏は、北川さんの再審申し立て時の記者会見にも同席し、「北川さんに頼んでもいないし現金も渡していない」と明言しています。

・中谷氏は06年に3回、高校を訪問し、校長室で北川さんに成績改ざんを依頼し、現金を渡したとされていますが、事務日誌には、来訪の記録がありません。事務長の証言などにより、来訪記録は機械的に詳細に書かれており、中谷氏の記録がないということは、訪問がなかったということであり、北川さんの無実を示しています。

・4人の教員のうち、Xの副担任Bは、「北川校長から指示は受けていない」と弁護団に証言。Xの担任教員Aから「何とかしなければ」と言われ、副担任の自分から「成績を上げるしかないね」と成績改ざんを提案したと述べています。

・4人とは別の教員は、「校長が元の指導要録との突合せなしに、これを見破ることは不可能です」と証言。北川さんは、成績改ざんなどを知れば、むしろやめさせる校長だとも述べています。4人の教員は、教育委員会から処分(減給)を受けていますが、刑事処分は受けず、現在も教職にとどまっています。4人に対して、校長の指示があったというなら処分は軽くするなど、誘導があった可能性も疑われます。

2016年10月25日、静岡地裁浜松支部は、再審請求棄却の不当決定。東京高裁に即時抗告するも、2021年3月に棄却。さらに、最高裁は2023年3月、請求棄却。元市長が金を渡していた時に銀行にいた証拠が見つかりました。同年10月6日に第2次再審申立て。2024年3月11日、弁護団が、贈収賄の事実を否定する新証拠を提出。

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署名用紙
冤罪天竜林業高校調査書改ざん収賄事件の再審開始を求める要請署名