2008年9月15日号
 
 
  茨城・冤罪布川事件
最高裁でも勝利を
第18回全国現地調査・14都道府県から161人

 41年前に茨城県利根町布川(ふかわ)で起きた強盗殺人事件で無期懲役の判決を受けた桜井昌司さんと杉山卓男さん。2人は無実を訴え、裁判のやり直し(再審)を求めています。去る7月14日、水戸地裁土浦支部に続いて東京高裁から2度目の再審開始決定を勝ちとりましたが、検察側が不服を申し立て(特別抗告)、現在最高裁で審理中です。その布川事件の第18回全国現地調査が8月30、31の両日行われ、14都道府県から161人が参加し熱気に包まれました。(事件説明など関連記事2面)

●2人で勝利を

 1日目は学習会。弁護団が東京高裁決定について説明し、決定は白鳥・財田川決定(*)を受けついだ決定で、警察・検察が2人にウソの「自白」を誘導した可能性を認めたことなどが特徴だと報告しました。
 つづいて、桜井さんと杉山さんが訴えました。桜井さんは、「再審決定には確信を持っていた。名張事件で再審開始を取り消した門野博裁判長でさえも再審を認めざるを得なかった。このたたかいに多くの期待が寄せられているが、最高裁でも絶対負けないと信じています。裁判所が検察の証拠隠しを許すはずがない。検察庁に『あいつらを犯人に仕立て上げたのは失敗だった』と言わせてやろうと思っています」と述べ、感激の涙をこぼしました。
 杉山さんは、「高裁決定を勝ちとった後での現地調査ですので皆さんの顔が輝いて見えます。自分でもここまで頑張れたことをほめてあげたいです。2人で一緒に最高裁で特別抗告棄却を勝ちとります」と述べました。
 会場には、原寸大の事件現場の被害者宅平面図や模型、写真パネルなどが掲示されました。

●「無実を確信」

 2日目は現地を調査。桜井さん・杉山さんが犯行当日に「目撃」されたという布佐駅から、被害者宅があった場所などを、弁護団や守る会のメンバー、桜井さん・杉山さん2人の説明をうけながら、有罪判決の誤りを検証しました。被害者宅があった場所では、「ここは当時、今ほど街灯がなく暗かったんです。夜の8時ごろバイクで通って僕と杉山を見たと言う目撃者がいますが、バイクを運転しながら見えっこないんですよ」と桜井さんは説明しました。
 まとめの集会では、全国から集まった現地調査参加者の感想や意見などが活発に出されました。はじめて現地調査に参加した人からは「百聞は一見に如(し)かずとはこのことだ。2人の無実をあらためて確信した」などの発言も出され、最高裁でも必ず再審開始決定を勝ちとるんだとの決意みなぎる発言が相次ぎました。
 最後に、守る会の中澤宏事務局長からの行動提起(別項)と最高裁への要請決議を確認し、終了しました。

 国民救援会は布川事件、そして同じく最高裁で審理されている名張毒ぶどう酒事件の再審開始決定を勝ちとり、再審の重い扉をこじ開け、無実の罪で苦しんでいる多くの人びとの救済に明るい展望を切り開こうと全力で支援しています。

〈激励先〉〒113―034 文京区湯島2―4―4 平和と労働センター5階 桜井さんと杉山さんを守る会
〈要請先〉〒102―0092 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・津野修裁判長

 
  国民の厳しい批判の前に
福田首相が辞任表明

 福田康夫首相は9月1日夜、突然辞任することを表明しました。
 昨年の参院選で自民党が惨敗し、改憲を明言した安倍晋三前首相が辞任、その後を受けた福田首相も1年で政権を投げ出しました。これは、「極めて異常、無責任」(朝日・社説)です。
 福田首相がすすめてきた「戦争する国」づくりや大企業優先・福祉切り捨ての政治に対し、国民の怒りとたたかいが広がりました。参議院で与野党が逆転したもとで、昨年末にはテロ対策特別措置法の期限切れにより、海上自衛隊はインド洋からの撤退を余儀なくされました。年金や「後期高齢者医療制度」問題でも、政府への厳しい批判が沸き起こっています。
 国民救援会は、福田自公政権について、「国民との矛盾をますます深めるもとで、国家権力による国民監視・抑圧体制の強化、言論弾圧事件や冤罪事件が起こされています」(第54回全国大会決定)と指摘し、批判してきました。また、安倍・福田両政権のもとで、13人の死刑を執行した鳩山邦夫法相の辞任と罷免を求めてきました。
 今回の辞任は、福田首相個人の問題にとどまらず、自民・公明両党がすすめる政治が国民との矛盾を深め、ゆきづまっていることのあらわれです。
 衆議院を解散し、総選挙で国民の信を問うことが必要です。
 国民救援会は、来たるべき総選挙にむけて、「のびのび選挙」学習会の開催や民間パトロール活動にとりくみます。あわせて、総選挙と同時に行われる最高裁裁判官の国民審査にとりくみます。

 
  長野・えん罪ひき逃げ事件
塚田さんの無実を確信
事故現場など調査

 長野・えん罪ひき逃げ事件の現地調査が8月11日行われ、長野県内の各支部から30人が参加しました。
 2006年5月の深夜、長野市内で、酔っていた現職警察官がひき逃げされ、死亡しました。事件発生から7カ月後、事故現場の近くに住む塚田学さんが突然逮捕され、「お前でなければ家族が犯人だ」 「認めたら執行猶予になる」と強制・誘導でウソの「自白」をさせられ、起訴されました。
 しかし、塚田さんが運転して轢いたとする車(ステップワゴン)は事件直後に調べられましたが、ひき逃げをした痕跡はありませんでした。検察は、車の車底部に付いていた繊維片が被害者のジーパンの繊維に似ているなどと主張しましたが、裁判では同一ではないことが明らかになりました。ところが、一・二審とも、事実と証拠を無視して、懲役2年の不当判決を言い渡しました。塚田さんは無実を訴え、最高裁に上告してたたかっています。
 現地調査では、まず塚田さんと家族の訴え、弁護団の事件説明を聞き、その後塚田さんの車をとめていた駐車場、ひき逃げ発生現場に行き、説明を受けました。村上晃弁護士は、事件発生時には塚田さんは、会社の車(カローラ)に乗っていたことや、事故現場では、「自白」で述べられているひき逃げ車の進行の不自然さや、左折したとされるが右折方向に被害者の血痕があったなどの矛盾点を説明しました。
 参加者は塚田さんの無実を確信し、最高裁で勝利することを誓い合いました。

 
  東京 葛飾ビラ配布弾圧事件
宗教者が最高裁要請
表現活動を処罰 とんでもない

 僧侶の荒川庸生さんがマンションでビラを配ったことが住居侵入罪として逮捕・起訴された葛飾ビラ配布弾圧事件で、「ビラ配布の自由を守る会」は8月27日、無罪判決を求め最高裁への要請行動を行いました。
   *
 言論・表現活動への弾圧に対し、宗教者の間で批判の声が広がっており、この日は、キリスト教、仏教、神道の宗教者がそろって要請しました。
 京都から駆け付けた大江真道さん(日本聖公会司祭・京都宗平協副理事長)は、世界平和をめざすものとして、表現の自由を守ることの大切さを訴えました。
 キリスト教牧師の平沢功さんは、荒川さんがビラを配布したことは心の平和と世界の平和を統一的に考える思いがこもった行為である、と語りました。
 全国宗教者の会の佐藤洪一さんは、自らが集合住宅の自治会長をしており、東京都や墨田区が集合住宅のエントランスやエレベーターを住居でなく公共の場所として助成金を出している例などもあげて、荒川さんを刑事罰に付そうとしたことの不当性を語りました。
 浄土真宗副住職の小山弘泉さんは、東京高裁判決が表現の自由を制約する憲法違反の判決であり、信教の自由を制約することにつながると、その不当性を訴えました。
 真宗大谷派僧侶の森脩覚さんは、あの戦争を推進したことに、教団はその誤りを反省し謝罪、その上に立って平和を探求しているが、国家権力には反省の姿勢がない、この言論弾圧事件はそのような中で引き起こされたものと語りました。
 浅川金毘羅大権現・神職の奥田靖二さんは、日本の宗教弾圧の歴史にも触れ、思ったことを表現したからといって公権力が処罰するのはとんでもないと批判しました。
   *
 要請行動では、国民救援会全国大会での決議、はがきによる裁判長宛ての手紙1126通(計1598通)、署名9284筆(計3万301筆)、285団体(計1224団体)などを提出しました。