2008年9月5日号
 
 
  長野・蒲原沢土石流災害国賠
二審も不当判決

 長野・蒲原沢土石流災害国賠裁判について、東京高裁(一宮なほみ裁判長)は8月20日、一審につづき原告の訴えを退ける、控訴棄却の不当判決を言い渡しました。
 この裁判は、1996年12月に長野県小谷村の蒲原沢で土石流が発生し、前年起きた土石流災害の復旧工事を行っていた作業員14人が巻き込まれ死亡した事故で、亡くなった3人の遺族が工事を発注した国や県の責任を追及した裁判です。一審の長野地裁松本支部は、蒲原沢が土砂が崩壊しやすい地層・地形であり、当時大雨・雪崩注意報等が出ていたことを認めながら、土石流の発生は予見不可能だったとして、原告の請求を棄却したため、遺族が控訴していました。
 この日の判決には、遺族のいる地元長野や青森から約30人が駆けつけ、裁判所前で宣伝を行い、判決を見守りました。
 裁判長の「本件控訴を棄却する」との判決に、傍聴席から「不当判決!」との怒りの声が上がりました。
 判決は、一審判決同様、「蒲原沢では当時、土石流の発生の可能性はあったが、抽象的可能性であって、具体的な予見可能性はなかった」として、原告の請求を棄却しました。
 報告集会で、原告の田中咲美さんは「12年のたたかいが今日でかなえられると思っていたので残念、言葉にならない」と述べ、中田トモ子さんは「負けたとはいえ、たたかって良かった。たたかわなかったらもっと後悔した。国民救援会のみなさんの支援にお礼を申し上げます」とあいさつしました。
〈抗議先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・一宮なほみ裁判長