2008年8月15日号
 
 
  東京・国分寺ビラ配布事件
幸野市議不起訴に
地元と全国の支援が力に

 日本共産党の幸野おさむ・国分寺市議が「市議会報告」のビラをマンションの集合ポストに配布したことが住居侵入罪とされた事件について、東京地方検察庁八王子支部は7月17日、不起訴処分としました。
 事件は、幸野市議が市内のマンションの集合ポストに市議会報告のビラを配布していたところ、住民の男性がクレームをつけ、これをきっかけに幸野市議が住居侵入罪として送検されていたものです。
 5月の事件発生から2カ月足らずの間に全国から寄せられた団体署名は816通にのぼり、世論の急速な広がりが不起訴を勝ちとった大きな力となりました。また、地元では、7月5日に「ビラ配布、知る権利・知らせる権利を守る国分寺の会」が結成され、総会には201人の市民が参加し、不起訴への運動が大きく広がりました。東京地検八王子支部には5回にわたり、毎回20人以上で不起訴要請を行い、検察官を追及しました。このとりくみの先頭に国民救援会国分寺支部が立ち、奮闘しました。
 また、葛飾ビラ配布弾圧事件の経験にも学び、ビラは知らせる側の一方的な都合ではなく、住民の「知る権利」が保障されるという重要な意義があることを示し、市民感情にかみあった働きかけや訴えができたことも大切な教訓でした。
 地元では、この不起訴決定を勝ちとった力を、今度は葛飾ビラ配布弾圧事件の最高裁での無罪判決につなげようと誓い合っています。

 
  東京・沖田国賠訴訟
最高裁が口頭弁論(9月29日)
不当判決見直しに道開く

 1999年、沖田光男さんが、東京・JR中央線の車内で携帯電話をしていた女性に注意したところ、その女性のウソの申告で痴漢にデッチ上げられ、逮捕されたうえ、21日間も拘束されました。沖田さんは不起訴になりましたが、逮捕・拘束は不当だとして、02年、「被害」申告をした女性と逮捕した警察(都)、勾留した検察官(国)の責任を追及し、国賠を提訴しました。しかし、一、二審とも沖田さんの訴えを退ける不当判決が出されました。
 この沖田国賠訴訟で、最高裁第2小法廷は7月29日、口頭弁論を9月29日に開くことを決定しました。最高裁では通常、書面による審理が行われ、口頭弁論は二審判決を見直す場合に開かれます。今回の場合、「痴漢行為があった」として女性への請求を棄却した一、二審判決の見直しに道が開かれることになりました。その一方で、都と国への賠償請求については、不当にも上告を退けました。
 沖田さんを先頭にした9年にわたる運動と全国の国民救援会からの支援、400人を超える市民が参加した「ストップ冤罪4・15三多摩の夕べ」のとりくみなどが結実したものです。
 都と国への請求を退けたことは不当ですが、「被害者」女性の一方的な言い分で安易に痴漢の事実を認定してしまう捜査と司法のあり方への警鐘を鳴らす最高裁判決を勝ちとれる可能性が出てきました。
 沖田さんと弁護団、「ただす会」は、9月中旬に都内で決起集会をもち、攻勢的に口頭弁論を迎えようと準備を進めています。

 
 

福井・女子中学生殺人事件
裁判所の勧告で検察が証拠開示

 1986年に福井市で女子中学生が殺され、前川さんが犯人とされました。前川さんは無実を訴え、一審は無罪を勝ちとりましたが、二審で懲役7年の不当判決が出され、最高裁で確定、出所後、04年7月に再審を請求しました。
 再審請求してから5年目を迎えた7月15日、国民救援会の福井、石川、富山の3県本部(14人)は前川さんの父・禮三さんと一緒に、名古屋高裁金沢支部へ8回目の要請行動を行いました。裁判所では、用意された会議室で、訟廷管理官に対し、要請署名、団体61筆(累計227筆)、個人671筆(累計9202筆)を手渡しました。禮三さんは「無実の息子が裁判という名の下に罪を着せられた。このままではすまされない。証拠を綿密に調べてください。再審の門を開けてください」と訴え、参加者も検察が未開示証拠の開示をするよう裁判所に「上申書」を提出し、再審開始を求めました。
 なお、検察庁は7月になって、2月に行われた裁判所からの証拠開示勧告をうけ、それまで隠していた証拠の一部、現場に残された証拠品や遺体解剖時の写真など66点を裁判所に提出しました。弁護団は、今回開示された新証拠も踏まえ、前川さんの冤罪を明らかにする意見書を提出することにしています。

 
  静岡・えん罪御殿場少年事件
明らかな冤罪だ
日弁連の交流会で事件を取り上げ

 日弁連の全国冤罪事件弁護団連絡協議会は、7月15日に開いた第11回交流会で、静岡・えん罪御殿場少年事件を取り上げました。交流会は、都内の会場で行われ、このもようは10県の弁護士会館に中継をされました。当日は、犯人とされた元少年たちやその家族、地元の守る会など160人を超える人たちが参加しました。

 まず弁護団が事件の概要を説明。2001年、深夜帰宅した女子高校生が、言い訳に、公園で強姦未遂にあったとウソをつき、それが発端で10人の少年たちが逮捕され、強引な取調べでウソの「自白」をさせられました。うち4人が少年審判を前に「自白」を撤回して無実を訴えたところ、刑事裁判にかけられました。
 父母たちの調査などで、「犯行」時間に、女子高校生が他の青年とデートしていた事実が判明。しかし、女子高校生は、ほんとうは1週間前に強姦未遂にあったと供述を変え強弁、検察も「犯行日」を1週間前に変更しました。
 この事件では、物的証拠もなく、女子高校生の供述と客観的な事実もくい違っています。しかし裁判所は、女子高校生の供述は信用できるが、少年たちの無実の訴えは信用できないなどとして、一審は懲役2年、二審は懲役1年6カ月の不当判決を言い渡しました。
 弁護団は、有罪判決は客観的な事実や証拠を無視しているなどと厳しく批判しました。

 弁護団報告につづき、今村核弁護士が基調報告に立ち、冤罪には、犯罪があったが間違って犯人とされる例(通常の冤罪事件)、権力が犯罪を作り上げ、犯人に仕立て上げる例(松川事件など)、犯罪がないのに犯人が作られる例があるが、御殿場事件は第3の例であり、志布志事件などと同じだと指摘し、さらに「自白」に客観的な裏付けがなく、事実や証拠と矛盾することが特徴であると分析しました。
 さらに、コメンテーターの荒木伸怡・立教大学教授は、「この事件は誰が見ても明らかな冤罪・誤判事件であり、検察官、裁判官の知性を疑う」と発言しました。
 当事者や支援者は、交流会を機に最高裁への運動を強化しようと思いを固めました。