2008年7月25日号
 
 
  茨城・布川事件
ふたたび再審決定
41年間の闘い、無罪へ前進

再審開始を認める決定書を手に、笑顔で握手を交わす桜井昌司さん(右)と杉山卓男さん
 

誤った裁判のやり直し(再審)を求めている茨城・布川事件で、東京高裁(門野博裁判長)は7月14日、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持する決定を出しました。決定は有罪判決の決め手となった「自白」の信用性や「目撃」証言を否定し、有罪判決に「合理的な疑いが生じた」として、検察側の即時抗告を棄却しました。再審開始に向けて大きな一歩を勝ちとりました。

 「再審開始」「勝利決定」の垂れ幕を掲げた弁護団につづき、決定書を手にした桜井昌司さんと杉山卓男さんが裁判所の玄関に姿を表すと、守る会が作ったお揃いの黄色いバンダナを身につけて待っていた支援者から拍手と歓声があがり、歓喜の渦に包まれました。
 桜井さんは、「やっと真実が勝ちました。日本一の弁護団、日本一の支援者のおかげです」と笑顔で語り、杉山さんは「あと少しの辛抱だが、頑張る」と胸を張り、2人でかたい握手を交わしました。

有罪の証拠は
信用できない

 布川事件では、2人と犯行を直接結びつける物的証拠はなく、現場近くで2人を見たとする「目撃」証言や強要されたウソの「自白」によって有罪とされていました。
 今回の高裁の審理のなかで弁護団は、「桜井さん、杉山さんとは違う人を見た」とする人の捜査段階の供述調書や、桜井さんの「自白」を録音したテープの改ざんを示す鑑定書などを新証拠として提出しました。この目撃供述や「自白」テープは、検察が長年隠しつづけ、再審請求審で弁護団が追及し、新たに開示させたものです。
 今回の決定で東京高裁は、弁護団が提出した新証拠の新規性、明白性を認定。その上で新旧証拠を総合評価し、有罪の根拠となっている「自白」と「目撃」供述の信用性を否定しました。また、「虚偽自白を誘発しやすい環境に置いたことには問題」があると代用監獄を使った捜査を批判しています。

「抗告するな」
検察庁へ要請

 桜井さんと杉山さんが逮捕されてからすでに41年。獄中から29年間無実を訴え続け、仮釈放後の2001年に第2次再審請求を行い、たたかい続けてきました。守る会も長年にわたって宣伝、要請、現地調査を重ね、弁護団とともに2人の無実を証明するための再現実験をいくつも繰り返してきました。
 決定直後の報告集会で柴田五郎弁護団長は、「桜井くんから日本一の弁護団とほめられたが、弁護団も支援者も請求人も最初から日本一だったわけではない。年を重ね、お互い言い合うなかでやってきた。再審公判で一日も早く無罪を手にするために頑張る」と述べ、会場いっぱいの拍手を浴びました。
 報告集会後、守る会と国民救援会、桜井さんの妻・恵子さんは東京高検を訪れ、特別抗告を断念するよう要請しました。守る会では抗告期限の22日まで、連日東京高検へ要請行動を行います。
〈激励先〉 〒113―0034 文京区湯島2―4―4 平和と労働センター5階 桜井さん杉山さんを守る会

〈布川(ふかわ)事件〉 1967年、茨城県利根町布川で起きた強盗殺人事件。別件逮捕で自白を強要された桜井昌司さんと杉山卓男さんは、裁判で無実を訴えましたが、78年最高裁で無期懲役が確定。2005年9月、水戸地裁土浦支部が再審開始を決定。検察がこれに不服を申し立て、東京高裁で審理していました。

 
  ビラ配布の自由広げよう
言論弾圧3事件の勝利めざし集会

 葛飾・国公法堀越・世田谷国公法の言論弾圧3事件の裁判がそれぞれ重要な局面を迎えるなか、「あぶない!言論の自由が! ビラ配布の自由を守る7・9集会」が7月9日、東京・千代田区の日本教育会館で開かれました。集会は、全労連、国民救援会、自由法曹団、3事件の支援団体などでつくる実行委員会の主催で行われ、市民ら約950人が参加しました。

 集会は、主催者として全労連の岩田幸雄副議長が「言論弾圧3事件の裁判勝利のための決起の場としたい」とあいさつし、日本共産党の市田忠義書記局長が「言論の自由を守り広げるたたかいは、憲法改悪を許さない国民的な運動の一環だ。国民的な連帯と共同を広げ、たたかいを大きく前進させよう」と連帯のあいさつをしました。
 続いて、映画『靖国』上映妨害問題について映演労連の高橋邦夫委員長が、日教組の会場使用拒否問題について田場暁生弁護士がそれぞれ特別報告をし、一橋大学大学院の渡辺治教授が「ビラ配布の自由と日本国憲法」と題し、記念講演を行いました。
 その後、「映像と語りで綴る3事件のたたかい」と題して、2004年〜05年に相次いで発生した3事件の事件発生の経緯や裁判の状況などが映像を使って説明され、途中、ビラを配る自由、ビラを受けとる自由の大切さについて支援者4人から市民の声が紹介されました。
 そして、3事件の当事者が壇上に上がり、支援を訴えました(別掲)。その後、葛飾ビラ配布弾圧事件のたたかいの中で作られた歌「一枚のビラで」を会場全体で歌い、国民救援会の望月憲郎副会長から「言論弾圧3事件の署名をはじめ諸行動に参加しましょう。言論の自由を守り、発展させましょう」と行動提起がされ、その中でマンションの集合ポストにビラを配って書類送検された日本共産党の幸野(こうの)おさむ国分寺市議も紹介されました。
 最後に、自由法曹団の松井繁明団長が、成果を挙げ得なかった洞爺湖サミットと比較してこの集会が言論の自由サミット≠ニ言えるほどの成果を挙げたと閉会のあいさつを行いました。

 
  '08司法総行動
市民の立場で司法を
裁判所・労働委など要請

 裁判をたたかう人たちや労働組合などが中心になって、市民の立場に立った、司法の更なる改革をめざして、2008年司法総行動(主催・同実行委員会)が7月2日、3日と都内で行われました。この総行動の事務局は、全労連、自由法曹団、国民救援会、東京地方労働組合評議会、東京争議団共闘会議など9団体が担当しています。
 参加者は、裁判所(最高裁、東京高裁、東京地裁)、労働委員会(中労委、都労委)、警察庁、法務省に対し、手分けをして宣伝と要請を行いました。
 最高裁の要請では、来年から始まる裁判員制度に対する要請など多くの要望をまとめた文書を事前に渡していましたが、「要請文書は各部局に渡したが、『回答はしない』との回答が各部局からあった」と形式的な答えで、真摯に国民の要求を検討しようという姿勢はみられませんでした。
 警察庁では、7項目の要請を行いましたが、相次ぐ冤罪事件で問題になっている取調べの全面可視化や代用監獄制度の廃止などについて、同庁は「全過程の可視化や弁護人の立会いは、その機能を阻害し、検挙にも支障を生ずるので考えていない」、「代用監獄は必要であり、捜査と留置は分離しているし、新法も代監存続を前提としている。引野口事件について、判決において指摘されたことは遺憾である」と、冤罪事件への反省がまったくない回答を行いました。
 実行委員会では、ひきつづき関係機関に対し、要求を掲げ、その実現のために運動をしていくことを確認しました。

 
  大阪・地裁所長オヤジ狩り事件
元少年の「無罪」確定

 2004年、大阪地裁所長が襲われた事件で、犯人とされた5人の青年・少年らが無実を訴えてきたオヤジ狩り事件で、今年5月に藤本敦史さんと岡本太志さん2人の成人の無罪が確定したのにつづき、少年審判を争っていた元少年の1人の不処分決定(刑事裁判の無罪判決)が7月11日、最高裁で確定しました。
 この審判では、家裁(第2次)の不処分決定を大阪高裁が取り消し、家裁に差戻す決定を行いました。
 最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は、記録を調べても家裁の不処分決定に事実誤認は認められないとして、高裁差戻し決定を取り消した上、検察官の抗告も棄却し、少年の不処分が決定しました。
 なお、田原裁判長は補足意見で、「事件関係者が、客観的証拠と矛盾する事実について、捜査機関の意向に迎合して、比較的容易に自白することがあり、殊に少年事件においては、そのような危険性が高いことを如実に示す一事例」と指摘しました。

 
  栃木・東武スポーツ争議
争議の早期解決を
 株主総会むけ宣伝

 東武スポーツが経営する栃木県の宮の森カントリー倶楽部で働くキャディーさんや保育士ら25人が、一方的に有期雇用契約に変更されたうえ、賃金減額をされたのは不当だと訴えています。
 6月27日、東武スポーツの親会社である東武鉄道の株主総会が行われました。当事者と300人を超える支援者が、東京・錦糸町の株主総会会場前で、株主や市民に対して、ビラを配布し、争議の早期解決を求める訴えを行いました。
 株主総会では、争議を支援する株主の会が、争議の早期解決を求める提案を行い、株主の13・27%と昨年を超える支持が寄せられました。