「私は人を轢いていません」――長野・ひき逃げえん罪事件で、無実を訴える塚田学さん。一・二審とも懲役2年の不当判決が言い渡され、現在最高裁でたたかっています。6月23日、無罪をめざし最高裁要請を行いました。
■事件
2006年5月の深夜、長野市内の住宅街で、酒に酔った警察官がひき逃げされ、死亡しました。
事故から7カ月後、塚田学さんが逮捕され、警察の強要・誘導によりウソの「自白」をさせられました。
要請で塚田さんは当時の様子を話しました。
「警察官に『ボクじゃない』と言うと、『お前じゃないなら家族や友人が犯人だ』『認めれば執行猶予になる』などと言われ、家族には迷惑をかけらないと思い、ウソの『自白』をしました」
警察は、塚田さんが自家用車(ステップワゴン)を運転し、轢いたとしました。しかし事件当時、塚田さんは会社の車(カローラ)を運転し、レンタルビデオ店に行っていました。そのことを裏付ける証言もあります。
「事故当時、塚田君の車が駐車場に置いてあったのを見ました。ぼくは車が好きだし、友だちの車は目に入るんです。裁判所で証言したけど信用できないと言われました。なぜ信用できないのか、きちんと調べてほしい」
要請に参加した塚田さんの友人は訴えました。
■不当判決
検察官は、塚田さんの車の車体の底にある部品の形が、被害者の履いていたジーパンに残っていた痕跡と「類似」すると主張。しかし科学捜査研究所の鑑定人は、「特徴は似ているが、形状は異なる」と証言。検察の主張は根拠がありません。
他方、検察官は、塚田さんの車がカーブを曲がり、時速20キロほどで寝ていた被害者を轢いた、被害者はその車の下で1回転した、と主張。
塚田さんの車は、最低車高13センチ、左右のタイヤ間は148センチ。一方、被害者の頭部は縦20・5センチ、横19センチ、肩幅41センチ、身長は170センチ。被害者の頭や肩に骨折はなく、身体にタイヤ痕もありません。また、事故現場の近所の人はガス爆発のような大きな衝撃音を聞いていますが、時速20キロで轢いた場合にそのような衝撃音が起こるでしょうか。被害者は立っていた状況でぶつかったと考える方が自然です。
だれが見ても、検察の主張は誤りです。しかし、裁判所は、人間には柔軟性があり、轢かれて1回転したとしてもおかしくないと、有罪判決を出しました。
二審の東京高裁は、1回で結審し、塚田さんの訴えを退けました。
■無実
要請に参加した塚田さんと両親、そして守る会のみなさんと国民救援会の会員は、各々「上申書」や「嘆願書」を持参し、「塚田さんは無実です。必ず無罪判決を」と訴えました。全国からの支援をお願いします。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長