2008年6月25日号
 
 
  日弁連が布川事件でシンポジウムを開催
杉山さん 絶対気を緩めずがんばる
桜井さん たたかえば勝てると確信

 再審開始決定の確定めざし、東京高裁での審理が大詰めを迎えている茨城・布川事件で、日弁連は事件への理解を世論に広げるため、6月7日、東京・弁護士会館でシンポジウムを開き、110人が参加しました。再審開始めざし全国からの支援をお願いします。


「攻め」の状況

 冒頭、弁護団による事件説明が行われました。弁護側と検察の双方が総括意見書を提出し、裁判所が早い時期に決定を出す意向であることが報告されました。続いて、九州大学の豊崎七絵准教授が布川事件の再審決定の意義について報告をし、布川事件の再審はいま「攻め」の状況にあると述べました。
 その後行われたシンポジウムでは、引野口事件の片岸みつ子さん、志布志公選法弾圧事件の弁護人も参加。桜井さんと杉山さんからは、警察が代用監獄を使い2人をウソの「自白」に追い込んだことが報告されました。40年前のこの状況は現在も変わっておらず、他の2事件でも代用監獄を利用した自白強要と自白偏重の裁判が行われたことが明らかにされました。

2人が訴える

 集会の最後に2人が訴えに立ちました。
 桜井さんは、「たくさんの証拠隠しが明らかになりました。これから裁判員制度が始まるなかで、やっぱり捜査過程を全部可視化しなきゃだめじゃないかという大きな力になると思います。『桜井は楽観論者だ』という人がいるが、私は『やってないんだから勝てないはずない』と確信しています。冤罪はたたかえば勝つと確信し、他のたくさんの冤罪の力になっていきたい」と胸をはりました。
 杉山さんは、「今日の集会の参加者を見て、勝率のパーセンテージが上がったなと思いました。ここで勝てなければ年齢からいってももう終わりですから、絶対に気を緩めません。私もがんばりますので、みなさんのご支援をお願いします」と力強く訴え、会場から大きな拍手が送られました。

急いで支援を

 守る会では、引き続き、署名、宣伝、裁判所要請を行い、8月30日、31日には全国現地調査の実施を決めました。桜井さん、杉山さんの再審開始を勝ちとるために、急いで全国からの支援を強めましょう。

〈要請先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・門野博裁判長

 
  高知・サッカー落雷事故北村裁判
差戻し審9月17日判決
原告 「命を大切にする判決を」

 5月21日、高松高裁において、土佐高校サッカー落雷被災事故・北村裁判の第9回差戻し審が開かれ、判決日を9月17日と指定して結審しました。
 この裁判は、96年8月、当時、高知市の私立土佐高校の生徒だった北村光寿さんが、大阪・高槻市で開催されたサッカー大会の試合中に落雷を受け、両目失明、言語障害、手足が不自由になるなどの重い障害を負い、同高校と高槻市体育協会の責任を追及して損害賠償裁判を起こしたものです。一・二審は、「落雷の予見は不可能」であったとして請求を棄却しましたが、原告・支援者が要請や「上申書」運動を広げた結果、最高裁は06年3月、「当時の科学的知見をもってすれば、落雷は予見可能であり、引率教諭は予見すべき注意義務を怠った」として、審理を高松高裁に差し戻しました。
 差戻し審では、落雷被害が、不可抗力的な自然災害ではなく、十分に防ぐことのできた人災であったことの責任原因を明らかにして、生徒の安全を守る教育機関としての土佐高校と高槻市体育協会の責任を明らかにしてきました。
 しかし、両教育機関とも落雷事故はあくまで「天災」であり、避けることのできない事故であったとする立場を変えていません。
 最終弁論で光寿さんの母・みずほさんは、事故から今日までの12年間の苦しさと多くの方々の支えに感謝を述べ、「命を大切にし、命を守る判決がでるよう、心からお願いします」と訴えました。
 「北村裁判を支援する会」では何としても裁判に勝利するために、引き続き署名を集めるとともに、裁判長宛に手紙を届ける活動に取り組むことにしています。

〈要請先〉〒760―8586 高松市丸の内1―36 高松高裁・矢延正平裁判長