「ビラ配布の自由守ろう」――僧侶の荒川庸生さんが日本共産党の区議団だよりなどをマンションで配布したことを住居侵入罪として不当に逮捕・起訴された葛飾ビラ配布弾圧事件で、荒川さんと弁護団は5月20日、最高裁に上告趣意書を提出し、報告集会を行いました。
荒川さんと弁護団は、支援者の拍手のなか、上告趣意書提出のため正門から最高裁に入っていきました。
常識欠く有罪
この事件では、東京地裁は、マンションへのビラ配布を犯罪とする社会通念は確立していないとして、荒川さんを無罪としました。ところが、東京高裁は、マンションの玄関ホールにチラシの投函を禁ずる張り紙があったこと等を理由に、住居侵入罪の規定を形式的に適用し、表現活動も他人の財産権を不当に侵害することは許されないとして有罪判決を出しました。この不当判決に対し、「常識を欠いた逆転判決」(朝日)、「表現の自由 萎縮しないか」(沖縄タイムス)と多くの批判が起こりました。
弁護団が批判
最高裁での逆転無罪をめざし今回提出された上告趣意書は、高裁判決を厳しく批判しています。
荒川さんの行為は、日本共産党の区議団だよりなど政治的意見を載せたビラを配布するという、民主主義社会において特別の重要性をもつ「表現の自由」の行使です。そしてオートロックでないマンションに、日中ビラを配布する目的で平穏に数分間立ち入っただけというものです。このような正当な行為に対し、高裁判決は、具体的にどのような不当な財産権侵害があったのか、その内容を明らかにしないで荒川さんを有罪にしました。高裁判決の論理に従えば、財産権侵害を口実にどんな時でも表現行為を制約することができることになり、憲法が表現の自由を保障した意味がなくなってしまいます。したがって、荒川さんの行為に住居侵入罪を適用し有罪とすることは、憲法21条に反し、違憲です。
また地裁が採用した荒川さんに有利な証拠(関係者以外立入禁止の看板の設置が事件後であったことなど)も無視しています。
急速な運動を
報告集会で荒川さんは、自らも提出した趣意書に、「最高裁が有罪判決を出すなら戦前の治安維持法が再来する」と強調したことを紹介し、「五月晴れのような良い判決を勝ちとるため頑張りましょう」と訴えました。
最高裁は4月に立川自衛隊官舎ビラ配布事件で不当な有罪判決を出し、また、選挙弾圧大石市議事件では上告趣意書提出から2カ月足らずで判決を出しています。このような状況からも、無罪判決をめざし、全国で急いで世論を高めましょう。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長
〈激励先〉〒124―0011 葛飾区四つ木5―2―12―202平和センター ビラ配布の自由を守る会 рO3(3826)0252