2008年4月15日号
 
 
  今、止めなければ
自衛隊は国民監視やめよ
救援会員含む22人 第2陣原告団が提訴

 陸上自衛隊東北方面情報保全隊により監視され、被害を受けた22人が3月12日、国を相手に自衛隊の情報収集、監視活動の差し止めと監視活動により被った被害の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こしました。すでに4人の提訴(第1陣原告団)があり、今回は第2陣の提訴となります。(記事は、宮城県本部・堤智子さんからの通信)

 今回の提訴には、安孫子麟・元東北大学教授をはじめ、国民救援会仙南支部、大崎支部、太白支部、県本部などの会員も多数加わっています。

憲法違反の行為

 2007年6月6日、陸上自衛隊東北方面情報保全隊が作成した2種類の内部文書を日本共産党が公表しました。その内容をみると、自衛隊のイラク派兵反対運動に加え、青森市内での「年金改悪反対」の街頭宣伝、秋田市内の「小林多喜二展」をはじめ、医療費問題や消費税増税問題など全国のあらゆる市民・団体の動向を組織的・系統的・日常的に監視し、その情報を分析・管理保管していたのです。監視対象となった団体・個人は、41都道府県で約289団体にも及び、そのなかには有名な映画監督、画家、写真家、ジャーナリスト、弁護士、高校生、マスコミとその記者、宗教団体、国会議員、市町村議会とその議員なども含まれています。これらの文書について政府・防衛省は否定しておらず、作成したことを事実上認めています。
 明らかにされた情報保全隊の行為は、自衛隊法の根拠も持たず、憲法で保障する言論表現の自由や思想良心の自由、結社の自由、プライバシー権、肖像権などを踏みにじる違憲・違法の行為です。

駐屯地へ抗議

 内部文書の一つを作成した東北方面情報保全隊は、仙台市若林区の陸上自衛隊仙台駐屯地に置かれています。
 昨年6月13日、12団体の代表20人が同駐屯地を訪れ、抗議しました。物置のような狭い部屋に入れ、イスも足りず立たせたまま対応した上、最初に出てきた伊藤偉征子・指令職務室長3等陸佐、清野幸男・広報班長2等陸尉も、後でやってきた市川章夫・地域連絡調整課3佐も、「情報保全隊は大臣直轄なのでわからない。回答する立場にない」「申し訳ありません」などと頭を下げるだけの態度に終始しました。

市長の不当発言

 自衛隊の違憲・違法の監視行為について梅原克彦・仙台市長は6月11日の定例記者会見の席上、「自衛隊は事実上の軍隊。軍隊である以上、作戦過程において反対の立場の情報を収集し、動向を調べるのは当然」と発言。政府見解より一歩踏み込んで情報保全隊の活動や対応を支持したとのマスコミ報道があり、「仙台市民の人権と安全を守るべき市長は、この発言を撤回し陳謝せよ」と、国民救援会宮城県本部など8団体が抗議しました。

情報保全隊

 自衛隊の情報保全隊は、2003年3月に調査隊を強化して設置されました。全国すべての駐屯地に存在し、900人の隊員をもつ組織です。
 情報保全隊は、防衛大臣直轄の機関で、自衛隊の保有する内部情報の流出や漏洩を防止するという任務をもっています。つまり、組織防衛のための、自衛隊内部向けの組織です。
 しかし実際は、戦前の憲兵隊のように国民を監視していました。いま防衛省は、陸海空三自衛隊の情報保全隊を1つに統合・強化することを計画し、いっそうの国民監視を狙っています。

憲兵隊を想起

 

今回提訴したのは、「自衛隊のイラク派兵やめよ、憲法まもれ」の集会や「米軍移転・日米共同演習反対現地集会」参加者、成人式で「憲法まもろう」のパンフレットを配布した新婦人大河原支部の会員、「憲法9条を守る柴田郡連絡会主催の集会」参加者など、監視の被害にあった人たちです。第2陣原告団団長の安孫子麟さんは記者会見で、「来年80歳を迎える私は、戦前の憲兵隊を思い起こしています。監視された実際の被害もひどいが、自由な発言や行動をおさえ、日常の行動を萎縮させることがもっと恐ろしい」と語りました。56人の弁護団を代表して勅使河原安

夫・弁護団長は、「法的根拠が全くない国民監視は、今止めないとどこまででも拡大する。仙台弁護士会、日弁連など各弁護士会でも声明を出している。ところが裁判で国は、この内部文書を作成したかどうか答弁すらしないという、通常の民事訴訟ではあり得ない不当な態度をとっている」と厳しく批判、この裁判の意義を強調しました。

全国から支援を

 国民救援会は、自由と民主主義、人権擁護を活動の柱とし、80年の歴史を積み重ねてきました。侵略戦争と人権抑圧は不可分という歴史の教訓からも、自衛隊による国民監視を告発し中止させる重要なたたかいの一つとして、この訴訟の支援を訴えるものです。

 
  静岡・袴田事件
無実の訴え退ける
最高裁が不当決定 国民救援会が抗議

 静岡・袴田事件で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は3月24日付で、袴田巌さんが誤った裁判のやり直し(再審)を求めていた特別抗告を棄却する不当決定を行いました。
 1966年、静岡県清水市(当時)で起きた、味噌会社専務一家4人の強盗殺人、放火事件で、同社に住み込みで働いていた元プロボクサー・袴田巌さんが逮捕されました。袴田さんは無実を訴えましたが、ウソの「自白」と、事件から1年後に味噌タンクから発見され、犯行時に着ていたとされる血の付いた「5点の衣類」によって、死刑判決が出されました(80年確定)。
 裁判では、警察留置場を利用した連日の長時間の取調べで作られた45通の「自白」調書のうち44通は違法な手続きだとして認めず、残り1通を採用。その「自白」調書では、犯行時にパジャマを着ていたことになっており、「5点の衣類」と矛盾します。
 弁護団は、「5点の衣類」について、犯行時の着衣か否か、袴田さんのものか否かについて多くの疑問を指摘。さらに、「5点の衣類」のなかのズボンは袴田さんのズボンではないとの科学的鑑定、凶器と被害者の傷が一致しないなどの新しい証拠を提出し、袴田さんの無実を明らかにしてきました。
 しかし今回の不当決定は、弁護団が新証拠によって明らかにした科学的観点からの客観的な疑問に対し正面から答えることなく、可能性論だけで新証拠を退け、袴田さんの無実の訴えを退けました。
 この事件では、一審で死刑判決を書いた熊本典道・元裁判官が「無罪だと思った」と、袴田さんを死刑から救済するように最高裁に訴え、日本プロボクシング協会も袴田さんを支援しています。
 国民救援会は今回の不当決定に抗議声明を発表し、袴田さんの再審無罪を勝ちとるために支援運動を続ける決意を表明しました。
〈抗議先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長

 
  大分・選挙弾圧大石市議事件
闘いの成果確認
200人で判決報告集会

 後援会ニュースを配布したことを公職選挙法違反で弾圧され、憲法と国際人権規約を掲げて最高裁までたたかった大分・選挙弾圧大石市議事件の報告集会が3月23日、大分市内で開かれ、12都府県から約200人が参加しました。
 「選挙の自由をひろげ大石さんを守る会」の清原靖弘会長は、「最高裁では不当判決を受けたが、共産党議席抹殺の策謀を打ち破り、その運動は大分県の民主運動の歴史に貴重な財産となった。その長期の運動を支えたのは、第1に大石議員のすぐれた資質と献身的な努力、第2に弁護団の奮闘・親身な指導援助、第3に共産党の確固たる援助と国民救援会のきめ細かく行き届いた援助、そして中村、祝両事件の経験を生かし各地の守る会に支えられた全国的な運動が力になったことです。いま国民救援会の県組織を強化・発展させることが不可欠の課題になっている」と挨拶しました。
 大石忠昭・日本共産党豊後高田市議は、「みなさんのおかげで、警察の議席剥奪の狙いを打ち破ることができました」と涙ぐみながらあいさつ、国保料の値上げ反対など全力で議員活動を続けている近況を報告しました。

 
  三重・名張毒ぶどう酒事件
奥西勝さんの無実を確信
第26回全国現地調査に87人

 無実の死刑囚・奥西勝さんが最高裁で第7次再審請求をたたかっている三重・名張毒ぶどう酒事件の第26回全国現地調査が3月29日・30日、三重県名張市内で行われ、11都府県から87人が参加しました。
 今回は、最高裁に特別抗告してから1年3カ月が経過したもとで、約20人の初参加者や街頭宣伝を聞いて参加した人など、再審開始を勝ちとる新たな力を感じる現地調査となりました。
 1日目は事前学習会。はじめに東海テレビの名張事件のドキュメンタリー番組『黒と白』が上映され、事件の概要を学びました。つづいて、弁護団から、名古屋高裁「門野不当決定」の決定的な誤りとして、「科学鑑定に対する無知・無理解」と「『自白』偏重問題」について詳しく解説。わかりやすい報告によって、参加者は奥西さんの無実をいっそう深く確信できました。そして、弁護団の主張をしっかり学び、最高裁に正しい判断を求める世論を盛り上げることを確認しました。
 また会場では、奥西勝さんと面会を続けている田中哲夫さんから、「私も元気を出して頑張ります」という獄中の奥西さんからのメッセージが紹介されました。
 2日目は、バスに分乗し、事件現場である葛尾地域に入り、「ぶどう酒の運搬時間」や「農薬ビンの投棄場所」など確定判決の矛盾点を確認しました。
 まとめの集会では、2万3千筆を超えた再審開始を求める最高裁要請署名を早期に5万筆に達成させるため支援を強めることを誓い合いました。

 
  NTTリストラ裁判
大企業の横暴追認の不当判決

 NTT11万人リストラを強行するために行われた異職種・遠隔地配転は不当と訴えていた裁判(原告9人)で、東京高裁(宮崎公男裁判長)は3月26日、原告の控訴を棄却する不当判決を言い渡しました。
 判決後、原告の1人で、往復4時間もの遠距離通勤を強いられている飯野和子さんは裁判官に向かい、「原告の身体は壊れています。原告の家庭も壊れています。私たちは今度、どこへ言えば(訴えれば)いいのですか」と抗議しました。
 高裁の審理のなかで、NTTは巨額な利益を上げ、過酷なリストラを行わなければならない必要性がなかったことや、繰り返し大声で転勤を強いた録音テープを証拠として提出し、配転強要の実態を証明してきました。
 今回の判決は、大企業の横暴を裁くという司法の使命を放棄したものです。
〈抗議先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・宮崎公男裁判長

 
  北海道・NTT奥村過労死裁判
「研修で過労死」
最高裁が判決

 北海道・NTT奥村過労死裁判で最高裁第1小法廷(才口千晴裁判長)は3月27日、研修と死亡との因果関係を認めた札幌高裁判決の主要部分についてはNTT側の上告を棄却し確定、一方、損害賠償額についてのみ過失相殺を適用すべきだったとして高裁に審理を差し戻しました。
 裁判は、心臓に障害があり、残業や宿泊に伴う出張は不可とされていた奥村喜勝さんが、NTTの11万人リストラに伴う宿泊研修に参加させられ過労死し、妻の節子さんら遺族が損害賠償を求めているもので、一、二審とも勝訴しました。
 判決を受けて、原告の妻・節子さんは「リストラ裁判で頑張っている人たちに連帯して今後も闘います」と決意を述べました。

 
  栃木・東武スポーツ争議
契約変更は不当 労働者側が勝訴

 栃木県壬生町のゴルフ場で働くキャディーら25人が、正社員から1年契約の社員に一方的に変更させられたのは不当として、運営会社の東武スポーツ(東武鉄道の子会社)を相手に、賃金の大幅切り下げは無効だと訴えている裁判で、東京高裁(稲田龍樹裁判長)は3月25日、判決を言い渡し、「労働条件の変更は、経営上の高度の必要性があるとは認めがたく、手続きも合理的と言えない」と、現職の20人について正社員の地位確認をした上、総額約1億3千万円の支払いを命じました。しかし、変更時に退職強要を受けて「退職」した5人の請求は退けました。
 一審は、労働条件変更は「無効」として地位確認と差額賃金支払いを命じていました。

 
  米・冤罪ムミア事件
控訴審裁判所が再審認めぬ決定

 ムミア・アブ=ジャマール氏は、1981年にアメリカで起きた白人警官殺害事件で犯人とされ死刑が確定、再審を求めています。
 この再審請求裁判で、フィラデルフィアの第3巡回(連邦控訴審)裁判所は3月27日、再審請求を棄却し、量刑について死刑か仮釈放のない終身刑のどちらかを選択するだけの裁判を開くように決定しました。
 ムミアの死刑執行停止を求める市民の会によれば、今回の決定は3人の裁判官の全員一致ではなく、2対1での決定で、少数派判事はこの裁判が人種差別に冒されていると強く批判しています。