元プロボクサーの死刑囚・袴田巌さんが再審を求めてたたかっている静岡・袴田事件を支援しようと、日本プロボクシング協会が主催したチャリティーイベント「いますぐ、袴田さんを自由に!」が1月24日、都内で行われ、1250人が参加しました。ボクシングの現・元世界チャンピオンらが揃って支援を呼びかけ、袴田さんへのプロボクサーの名誉ライセンスの授与式が行われました。
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会場となった後楽園ホールでは、中央のリングがステージとなりました。
弁護団全員がリングに上がり、代表して西嶋勝彦弁護団長があいさつしました。「再審開始を勝ちとるには、弁護団だけでは不十分。みなさんの力を借りて最高裁を動かしていただきたい」と話しました。この事件の一審で死刑判決を書いた元裁判官の熊本典道さんもリングに上がり、「(袴田さんは)無罪だと信じている。かつて冤罪事件で無罪になった人は、法廷外の人びとの協力によって導かれたものが多い。みなさんの絶大な支援を」と訴えました。
主催者を代表して、袴田巌支援委員会の大橋秀行委員長(東日本ボクシング協会会長)があいさつに立ち、「我々の仲間であり先輩の袴田さんが、冷たく寒い拘置所にいることを考えると胸が熱くなる。ボクシング協会は一丸となって袴田さんを応援しています。袴田さんはいま、時間とのたたかい。最終ラウンドのゴングは鳴りました。応援してください」と、支援を求めました。
「俺は生きのびた、次はあんただ。袴田さんを自由に」――映画『ザ・ハリケーン』のモデルとなった、アメリカの元プロボクサーで、終身刑から再審無罪を勝ちったルービン・カーターさんからのメッセージがビデオで流されました。このほか、世界チャンピオンのスパーリングやちびっ子ボクシング教室、内藤大助・WBC世界フライ級チャンピオンも参加したチャリティーオークションも行われ、会場を沸かせました。
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最後に、日本のボクシング界の発展に貢献した袴田さんに元気を出してもらおうと、プロボクサーの名誉ライセンスが授与されました。袴田さんの代わりに姉・秀子さんが、リング上でライセンスを受け取り、「巌はボクシングのことしか知らない。今後もボクシングのことを話していきたい。みなさんの協力があるから頑張れる」と支援への感謝を述べました。
〈袴田事件〉1966年、静岡県で起きた一家4人の殺人・放火事件で、元プロボクサーの袴田巌さんが犯人として逮捕・起訴され、死刑判決が確定。現在71歳の袴田さんは、東京拘置所から最高裁に再審を申し立てています。