2008年1月15日号
 
 
  開こう!再審のとびら
名張・布川再審めざし2月21日にいっせい宣伝

 「名張毒ぶどう酒事件、布川事件の再審を開け!」――両事件の再審開始をめざして最高裁や東京高裁への要請など「一日行動」が12月13日に取り組まれました。ひきつづき2月21日に「一日行動」を行います。この行動に呼応して、全国で再審開始の世論を盛り上げるための宣伝行動を行うことが、第8回中央常任委員会で提起されました。名張事件と布川事件を前面に押し出して、各地の裁判所前や駅頭・繁華街など街頭に打って出て積極的に訴えましょう。再審の扉を閉じようとする裁判所の動きがあるなかで、いまこそ全国の力を結集した運動によって「誤った裁判をやり直せ!」「無実の人は無罪に!」の世論を巻き起こして再審の扉を切り開きましょう。

●最高裁で1年 ― 名張事件

 名張毒ぶどう酒事件は、最高裁に特別抗告して1年が経過しました。名古屋高裁(門野博裁判長)による再審取り消し不当決定は、奥西勝さんの無実を明らかにした弁護団提出の科学的鑑定など客観的証拠と事実を無視し、決着済みの嘘の「自白」だけに寄りかかったもので、学者やマスコミなど各方面から強く批判されてきました。弁護団は、この不当決定を論破する特別抗告申立書のほかに補充書も提出して、奥西さんの無実を立証してきています。1月14日に82歳となった奥西勝さんは、47年間無実を訴え、名古屋拘置所から再審を求めてたたかい続けています。「名張事件全国ネット」は、毎月の最高裁要請行動を節目にして署名や上申書を全国に広げています。また、3月29日(土)〜 30日(日)に第26回全国現地調査を実施します。
 こうしたもとで日本弁護士連合会も、昨年12月15日に、ジャーナリストの江川紹子さんや大谷昭宏さんを招いて名張事件のシンポジウムを行いました。江川さんは、「奥西さんを救うのは時間とのたたかい。色々な場所で改めて無実の訴えを強めていかなければ」と述べ、大谷さんは、「日本の裁判所は岐路に立っている。今こそ市民が行動することが必要で、メディアもそれを支える」と訴えました。シンポジウムには200人が参加。10代・20代の学生の参加が目立ちました。全国8弁護士会23カ所に中継されました。

●事実調べ終了 ― 布川事件

 名張事件不当決定を出した門野博裁判長が東京高裁に異動し、そのもとで審理がすすむ布川事件は、裁判所の職権によって死因に関する鑑定を行った高取健彦元科学警察研究所長に対する証人尋問が11月30日に行われ、事実取調べが終了しました。弁護団、検察官は、5月頃までに「最終意見書」を提出する予定で、夏以降の決定が予想されます。
 「守る会」は、土浦市での全国支援集会と現地調査を大きく成功させ、世論を盛り上げるための宣伝行動や、裁判官への要請はがきなどの運動を旺盛にすすめています。毎月定例で行ってきた有楽町マリオン前宣伝行動も、回を重ねるごとにビラの配布枚数が増え、冤罪事件に対する市民の関心の高まりを実感しています。

●全国いっせい宣伝行動を!

 布川、名張両事件の再審開始をめざす「一日行動」は、2月21日(木)午前8時15分からの最高裁西門前宣伝行動を皮切りに、名張事件の最高裁要請、法務省要請、昼休み時間に東京高裁前宣伝を行い、布川事件の東京高裁要請の後、夕方、有楽町マリオン前での宣伝行動を予定しています。
 この行動に呼応して、全国各地で街頭宣伝に取り組んでください。宣伝のための統一ビラ(版下)を2月上旬に各都道府県本部に送ります。

 
  大阪・大阪地裁所長オヤジ狩り事件
弁護団が最終弁論
大阪高裁 4月17日に判決

 大阪地裁所長オヤジ狩り事件の控訴審最終弁論が12月18日、大阪高裁で行われました。2004年、当時の大阪地裁所長が何者かに襲われた事件で、5人の少年らが犯人とされ、うち岡本太志さんと藤本敦史さんの2人の青年が刑事裁判にかけられたもので、一審で無罪を勝ちとり、検察が控訴しています。
 弁護団は最終弁論で、改めて2人の無罪を主張しました。
 まず、犯行現場の防犯カメラに映し出された犯人が走り去る場面の映像分析について取り上げ、藤本さんの犯人性を否定した千原鑑定を丁寧に説明。そのうえで、千原鑑定に対する検察側の実験結果・鑑定について、被験者の身長・体重に配慮なく、体格の正確性がまったく担保されていないなど、徹底して批判しました。そして、昨今の冤罪事件をめぐる状況を述べ、取調べを録画したビデオをもとに自白調書を却下した最近の事例を挙げ、その判決と比較しても本件の少年たちへの取調べはひどいものだと指摘。少年たちの「自白」について任意性も認めず、信用できないと無罪を言い渡した一審の裁判官は、まさしく変わりつつある裁判所の象徴といえるものである、と諭すように語りました。最後に、実体的真実発見に心を砕いていただきたいと述べ、弁論を終えました。期せずして、傍聴席から拍手が起こりました。判決は、4月17日午後1時30分に決まりました。
 なお、この日の前日、同じ事件で犯人とされ、無実を訴えるS少年に対する少年審判で、大阪家裁は、刑事事件の無罪にあたる「非行事実なし」の決定を言い渡しました。
〈無罪要請先〉〒530−8521 大阪市北区西天満2−1−10 大阪高裁・若原正樹裁判長
〈激励先〉〒530−0041 大阪市北区天神橋1−13−15 大阪グリーン会館5階 国民救援会大阪府本部気付

 
  大阪・えん罪高石小学校強制わいせつ事件
吉鶴さんに不当判決

 小学校の警備員をしていた吉鶴恒さんが、少女の話を曲解した親や警察によってわいせつ行為をしたとして起訴された冤罪事件の判決が12月27日、大阪高裁で言い渡され、一審判決(懲役1年6月・執行猶予3年)を支持し、控訴棄却の不当判決を言い渡しました。
〈抗議先〉〒530−8521 大阪市北区西天満2−1−10 大阪高裁・古川博裁判長

 
  京都・長生園不明金民事事件
西岡さんに不当決定

 京都・南丹市の社会福祉法人・長生園で不明金が発覚し、西岡廣子さんが横領で起訴され、無実を訴えましたが、不当にも有罪判決が確定しました。
 西岡さんは、不当解雇撤回を訴えて裁判を起こし、たたかっていましたが、最高裁第2小法廷は12月21日付で、西岡さんの訴えを退ける上告棄却の不当決定を行いました。
〈抗議先〉〒102−0092 千代田区隼町4−2 最高裁判所第2小法廷・今井功裁判長

 
  これでいいのか日本の裁判
冤罪考える集い

愛知・秋山賢三講演

 元裁判官の秋山賢三弁護士を招き、「これでいいのか日本の裁判」と題し、再審を求める集会(同実行委員会主催)が11月29日、名古屋市内で行われ、130人が参加しました。
 秋山弁護士は、富山・氷見冤罪事件を取り上げ、「警察は被告のアリバイを握りつぶし、証拠の捏造(ねつぞう)を行うなど、これはれっきとした犯罪ではないでしょうか」と指摘。名張、布川、日野町事件の共通点についてふれ、ウソの「自白」を信用したり、一度出したら誤判とわかっても裁判所の権威と面子にこだわり翻すことをしないなど、裁判所の姿勢を批判しました。
 閉会にあたり、鈴木泉実行委員長・名張事件弁護団長があいさつに立ち、「司法や冤罪をとりまく社会的情勢が大きく変わろうとしています。名張、布川、日野町をはじめすべての事件でなんとしても再審を勝ちとることが必要です。さらにお力をお貸しください」と呼びかけました。

石川・江川紹子講演

 12月9日、江川紹子さんを招いた講演会(同実行委員会・国民救援会県本部主催、北陸中日新聞社・石川テレビ後援)が金沢市内で行われ、雨のなか250人が参加し、会場を埋めました。
 江川さんは、冤罪を生む原因について、捜査の行き過ぎをチェックせず、ウソの「自白」を採用する裁判所の責任を厳しく批判。その上で、冤罪をなくすために、捜査の全面可視化やマスコミのチェック機能の発揮などを提案しました。
 この集会で2人が国民救援会に入会しました。

 
  東京・葛飾ビラ配布弾圧事件
最高裁で必ず無罪を
地元集会に230人

 東京高裁で逆転有罪の不当判決が出された葛飾ビラ配布弾圧事件の報告集会が12月27日、地元葛飾区で開かれ、会場あふれんばかりの230人が参加し、最高裁で無罪を必ず勝ちとろうとの思いを一つにしました。
 開会のあいさつにつづいて、同じ言論弾圧事件をたたかう国公法弾圧事件の堀越明男さんと宇治橋眞一さん、立川自衛隊官舎ビラ配布弾圧事件の大洞俊之さんが連帯のあいさつを行いました。
 小田中聰樹・東北大学名誉教授が講演を行い、今回の判決を「無法判決だ」と厳しく批判し、ビラ配りについて、「決して犯罪でなく、人間のもっている大切な権利」であると強調。「私たちは受身の立場に立っているのでなく、世論の支持を得ながら、ビラ配布の権利を最高裁に認めさせる局面にたっている」と確信と展望を語りました。
 最後に荒川庸生さんが、「未来に対し責任のあるたたかいである」と最高裁で無罪を勝ちとる決意を語りました。参加者全員で「一枚のビラで」を歌い、閉会しました。

 
  東京・世田谷国公法弾圧事件
「国公法は憲法違反」
憲法学者が証言

 厚生労働省職員の宇治橋眞一さんが、休日に「しんぶん赤旗」号外を警察官舎(池尻住宅)に配布したことが国公法違反だとして起訴された世田谷国公法弾圧事件の第17回公判が12月14日、東京地裁で開かれました。
 公判では、佐々木弘通・成城大学准教授が、憲法学の立場から国家公務員の政治活動規制を合憲とした最高裁猿払(さるふつ)判決(1974年)を批判し、「言論・表現活動を規制する国公法の規制は違憲である」との判断を求めると証言しました。
 佐々木証人は、人権のうちでもとりわけ重要な、表現の自由の制約を行う法律について違憲かどうかを判断するときは厳格な審査が必要であるにもかかわらず、政治活動を禁止する国公法を合憲とした猿払判決は非常にゆるやかな審査をしており、憲法学者からは強く批判されてきた、と指摘。職務以外の場も含めて公務員の政治的行為を全面的に禁止しなければ「行政の中立的な運営」が本当に守られないのかどうかについても具体的に検討していないと述べました。そして、猿払判決は「意見表明そのものの規制が目的ではない」としているが、ポスター掲示やビラ配布は意見表明そのものであり、実際的には意見表明の規制になっていると指摘。また、同判決は、被告人の行為を規制しなければならない理由があるのか、それによってどんな弊害が起きるのかについて検討していない、と批判しました。そして、公務員の政治的行為の禁止を私生活の場にまで適用することには大きな問題があり、私生活部分においては表現の自由が保障されるべきであり、国際的にみても先進資本主義国では公務員の政治的行為を刑事罰で禁止していない、と証言しました。最後に裁判所に対し、裁判所の役割は無辜(むこ)の被告人を救済することであり、目の前の被告人の行為は憲法上保障されている行為かどうかをしっかり見て、表現の自由を守る立場から猿払判決にのることなく、最高裁も無視しえない説得力ある違憲判決を書いてほしい、と述べました。
 なおこの公判では、事件当日に警視庁公安総務課から派遣されて、池尻住宅でビラの回収などを行った警察官証人に対する弁護側尋問も行われました。