2007年10月5日号

 

福岡・引野口事件

冤罪をなくそう
長野智子さんら招いてシンポ
500人の参加で成功

 片岸みつ子さんが、実兄の殺人・放火の罪で起訴され、現在福岡地裁小倉支部で審理されている引(ひき)野(の)口(ぐち)事件は、10月10日に検察の論告・求刑、11月12日に弁護側の最終弁論が行われ、来年早々には判決が予想されます。重要な時期を迎え、9月22日、地元の北九州市八幡東区でシンポジウム「えん罪はなぜ生まれるのか」(片岸兄弟を支える会、片岸みつ子さんを守る会共催)が開かれ、500人を超える市民の参加で成功し、片岸さんの無罪にむけた大きな一歩となりました。北九州総支部・山本和也さんの通信を紹介します。

 当日は、片岸さんの地元の方々をはじめ中国・九州各県から、国民救援会の枠を大きく超える参加があり、冤罪への関心の高さと「守る会」の運動の広がりを実感するものとなりました。

取調べの実態体験者が語る

 シンポジウムに先立ち引野口事件のビデオ上映と弁護団の報告が行われ、参加者は片岸さんの無実を改めて確信しました。
 シンポジウムは、テレビ朝日の『ザ・スクープスペシャル』などでキャスターとして活躍中の長野智子さんの司会で進められ、鹿児島・志(し)布(ぶ)志(し)の公選法デッチ上げ事件の川畑幸夫さん、富山・氷(ひ)見(み)冤罪事件の柳原浩さん、長野・松本サリン事件の河野義行さんから、それぞれ取調べの実体験が報告されました。共通しているのは、任意でありながら事実上拘束した状態に置く、真実の供述には一切耳を貸さない、威嚇する、虚偽・偽計・肉親などを使って屈辱感を持たせ孤立させるなどで、とにかく警察の筋書きに沿ったウソの「自白」を繰り返し強要し続けるというものでした。
 また、裁判所のチェック機能について、北九州市立大学の朴(パク)元(ウォン)奎(キュ)法学部教授から発言があり、裁判官が、直感主義や「常識」(「重い刑罰など不利になることがわかっているのにウソの『自白』などしないだろう」とか、「少女が恥ずかしいはずのわいせつ被害を訴えているのだから真実だ」など)にとらわれて、虚偽の「自白」に至る心理過程を理解していないことなどを指摘しました。
 国際水準との比較については鈴木亜(つぐ)英(ひで)・国際人権活動日本委員会議長(国民救援会副会長)が発言、今年5月の国連拷問禁止委員会が代用監獄の廃止を勧告したが、日本政府が誠実に対応していないことが報告され、政府の態度を改めさせるたたかいの必要性が強調されました。
 また、報道と冤罪・マスコミと警察の関係について河野さんから発言があり、長野智子さんからは、松本サリン報道についてのマスコミ界の反省と再発防止の取り組みについて報告がありました。
 最後に、冤罪をなくすために何が必要かを聞かれた各氏からは、取調べの全面可視化や弁護士の立会い、違法に収集した証拠を排除する原則の徹底、検察審査会の審査対象を起訴事件にも拡大する、推定無罪の大原則の徹底などが出されました。

片岸さんの長男支援を訴える

 シンポジウム後、ステージに立った片岸みつ子さんの長男・和彦さんが、母の無実を訴え、「勾留も3年4カ月間に及び、一日も早く母を救い出すためにご支援をお願いします」と訴え、大きな拍手に包まれました。
 集会は、冤罪をなくせの熱い思いのこもったものとなりました。

〈無罪要請先〉〒803―8351 北九州市小倉北区金田1―4―1 福岡地裁小倉支部・田口直樹裁判長
〈激励先〉〒802―0016 北九州市小倉北区宇佐町1―7―36 国民救援会北九州総支部気付

 

東京・町田痴漢冤罪事件

十分な調べせず結審
11月14日に東京高裁判決 できることやりきろう

 2005年1月、横浜市内に勤務していた会社員Aさんが、通勤途中のJR横浜線上り電車内で痴漢に間違われ逮捕・起訴された町田痴漢冤罪事件の控訴審が9月19日、東京高裁で開かれ、38席の傍聴席に90人以上がつめかけました。
 弁護団が約1時間にわたる弁論で一審判決(懲役1年6月)の誤りを解明するとともに、電車内の混雑状況を撮影したビデオや再現実験のビデオなどを提出し採用されました。さらに、供述心理学の観点から被害者供述の信用性を検討した浜田寿美男・奈良女子大教授の意見書を一審判決ではまともに審理した形跡がないので、同意見書について十分に調べてもらうために浜田教授の証人採用を求めましたが、裁判所はこれを却下。Aさんの被告人尋問のみ限定的に認め、その場でただちに質問が行われて結審となり、11月14日が判決言渡しとなりました。関係者からは「本当に調べる気があるのか」「結論先にありきではないか」と怒りの声がもれました。
 報告会では、デパート地下痴漢えん罪事件の河野さんや西武新宿線丸山事件の丸山さん、沖田国賠の沖田さんらが「可能性のある限りがんばろう」と呼びかけ、Aさんも「下駄を履くまでわかりません。できうることをすべてやりきりたい」と決意を述べ、支援者もこれに拍手で応えました。
 「救う会」では要請署名を大急ぎで集約すること、高裁への要請や宣伝活動にとりくむことを確認し、10月9日の町田市内での緊急集会への参加を呼びかけています。

〈無罪要請先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・高橋省吾裁判長
〈激励先〉〒194―0203 町田市図師町2217―15 山田貴方 町田痴漢冤罪事件救う会

 

東京・世田谷国公法弾圧事件

共産党のビラを敵視
通報した警察官が証言

 2005年9月に世田谷区内の警察官舎の集合ポストに「しんぶん赤旗」号外を投函したことが、住居侵入罪に当たるとして逮捕され、国家公務員法違反で起訴された厚生労働省職員の宇治橋眞一さんの第14回公判が9月21日、東京地裁で開かれました。
 公判では、事件の当日に宇治橋さんのビラ配布を発見した国井(同住宅の住民で警察官)の依頼を受け、警察へ110番通報した山本一輝(同住宅の住人、当時警視庁公安二課員)証人に対する尋問がありました。山本証人は、「服装からは不審とは見えない」にもかかわらず、国井から「無断で侵入してこの(共産党の)ビラを配っていた」と聞き、立ち入りの許可をとったかどうかについて、「(宇治橋さんにも管理人にも)確認もしないで」110番したことが明らかになりました。
 一方で、入居して半年の間に、寿司やピザの宅配などのビラ、選挙公報などが集合ポストに入っていたと証言。一般のビラ配布は問題になっていないことも明らかになり、共産党のビラ配布だったので110番通報した可能性が高いことが示されました。また、110番通報を受けてパトカーで現場にきた警察官が、「(宇治橋さんに)住居侵入で逮捕する」と言って、現行犯逮捕したと証言しました。しかし、弁護側から事件直後の事情聴取の際に作成された警察の調書にも検察の調書にも「現行犯逮捕された」とは書かれていないことを指摘されるとまともに答えられず、「現行犯逮捕」は宇治橋さんが国家公務員とわかったあとでデッチあげた筋書きであることが示されました。
 続いて、宇治橋さんの被告人尋問にうつり、時間の関係で、宇治橋さんの経歴と職務について行われました。宇治橋さんは、「厚生労働省の統計情報部という業務の性格から、政党や個人の意志が業務に影響を与える余地はない」と証言しました。次回公判(10月17日)は、引き続き宇治橋さんへの尋問が行われます。

 

佐賀県本部

監視活動の中止を自衛隊へ申入れ

 佐賀県本部は9月18日、県本部大会で採択した「憲法を無視した国民監視活動の即時中止を求める申入書」を持参し、陸上自衛隊目達原駐屯地を訪れ、要請しました。この日は、県本部の役員に加え、公表された自衛隊の「内部文書」に名前が出ていた日本共産党三田川支部の代表を含め4人が参加しました。
 要請では、申入書にもとづき、直ちに監視活動を中止するよう申し入れました。応対した広報班長ほか2人は、情報保全分遣隊員はいま不在であり、申入書を預かり、趣旨を伝えると回答しました。

 

最高裁統一要請行動

7事件50人参加

 最高裁第171次統一要請行動が9月19日に行われ、7事件約50人が参加しました。
〈参加事件〉刑事=北陵クリニック事件、デパート地下痴漢えん罪事件、名張毒ぶどう酒事件、民事=故高橋先生公務災害認定裁判、明治乳業賃金・昇格差別争議、スズキ思想・賃金差別事件、長生園不明金民事事件
〈おわび〉前号の大会日程で、福井県本部の会場を誤って掲載しておりました。関係者のみなさんにご迷惑をおかけしたことをおわびします。

 

静岡・えん罪御殿場少年事件

最高裁で勝利しよう
地元の判決報告会に80人

 えん罪御殿場少年事件の判決報告集会が9月15日、地元御殿場市で開かれ、80人が参加し、不当判決に抗議し、最高裁での勝利を誓い合いました。
 事件は、8月22日に東京高裁で懲役1年6月の不当判決をうけ、元少年たちと弁護団は即時上告しました。この日の報告会は、地元で判決の内容をしっかりつかんで、元少年たちと家族を激励しようと、守る会が呼びかけたものです。
 守る会代表世話人で御殿場市職労連委員長の伊倉賢さんが「不当判決に負けず、世論を広げ、最高裁で勝利しよう」と開会あいさつ。つづいて、弁護人の鈴木勝利さんが高裁判決について、「ずさんな判決で憤りを感じる。弁護団は高裁でも少年たちの無実を明らかにする証拠を提出したが、裁判所は真面目に再検証しなかった。はじめから有罪という結論をもって、それと矛盾する証拠は無視し、事実と証拠を踏みにじった判決だ」と批判し、最高裁でも力を合わせて頑張ると述べました。国民救援会中央本部の芝崎孝夫さんは、最高裁では要請行動や上申書を重視しようと発言し、守る会事務局長の諏訪部修さんが最高裁での運動の強化を呼びかけました。
 集会では、地元の市民から「なぜ、こんな明快な事件が無罪にならないのか」と怒りの発言が続きました。
 最後に元少年たちが、「判決は納得できない」「無罪を勝ちとるまであきらめない」「今日のような支えがあって頑張れた。最後までご支援をお願いします」と悔しさをにじませてあいさつしました。両親も、不当判決に怒りの声をあげ、支援を呼びかけました。

 

 

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