2007年5月15日号

 

鹿児島・公選法志布志事件

密室で自白強要
無罪確定の元被告迎え 取調べの録音・録画求め集会

 「これは冤罪ではなく、(捜査機関による)犯罪です」――12人全員が無罪となった鹿児島・公選法志布志(しぶし)事件の元被告人らを招いて、取調べの可視化(録画・録音)を考える緊急勉強会(日本弁護士連合会主催)が4月24日、衆議院第2議員会館で開かれました。元被告人が、取調べの実態を生々しく語りました。

 

苦しさに自殺図る
元被告が取調べの体験を語る

 2畳ほどの狭い取調室に長時間閉じ込められた上、刑事に「自白」を強要された体験談を、発言から紹介します。(文責・編集部)

□藤山忠さん

 「任意」の名のもとで強制的に取り調べられました。
 「1時間でいいから」と言われ朝早く警察に行くと、夜10時ころまで調べられました。任意だから「帰してください」と言ったら、「帰りたいなら帰れ」と言われ、ドアを開けたところ「なぜ帰るのか」「帰すわけにはいかん」と引き戻されました。
 「死刑にしてやる」と言われたり、「『私を逮捕してください』と紙に書け」と言われました。また、テーブルの上に、3、4時間両手を置いたままで取調べをされました。
 可視化にしてもらえば、われわれのような無実の人間がつらい思いをしないですむと思います。

□懐(ふところ)俊裕さん

 「お前は現金をもらっただろう」と言われ、「もらってません」と何回言っても聞いてくれません。「『申し訳なかった』と反省文を書け」と言われました。やってないのにと、本当に怒りを感じました。あまりにひどい取調べに、入水自殺を図りましたが、親戚に助けられました。可視化の実現を一日も早くお願いします。

□永山トメ子さん

 「なにかの間違いだ」と思いつつ、警察に連行され、それから延々180数日拘束されました。「なんでなんにもしていないのに」と狂いそうな日々が続きました。毎日のように朝8時から夜9時まで取調べを受け、心身ともに疲れ果てて、歩けないような状態でも取調べを受けました。「自白していないお前が一番悪い」と言われ、「最高裁までたたかいます」と言うと、「お前は暴力団より悪い」と言われました。

□山下邦雄さん

 6時30分、まだ朝ごはんを食べていないのに警察が呼びに来て、夜は9時半から10時ころまで取り調べられました。「なんにもしてない」と言うと、「みんな認めとる。認めたら早く帰れる」、そればっかしです。私は先生やオヤジより警察官を尊敬しとったんです。それがウソばっかし言って、犯人にしようとする。「どんなことがあっても、警察には絶対に協力はしない」と法廷で言いました。

□谷田則雄さん

 私は、父が危篤のときに逮捕され、約5カ月間拘束されました。毎日父のことばっかり思いました。帰されたとき、父が生きていてくれてうれしかったです。その間に8キロ痩せました。
 取調べで刑事が、壁や机、腰掛を蹴ってきました。私たちを守ってくれる警察から非常に痛めつけられました。二度とこのようなことが起きないように、可視化を実現してほしい。それができなかったら、今日来た意味がありません。

□中山信一さん

 これは、冤罪ではなく、犯罪ですよ。
 一番苦しかったのは、妻が認めたと警察に言われたときです。私は、「妻が認めるわけがない、きっとからだを壊したんだ」と思いました。取調べ後に、弁護士に「うちの妻、どうですか」と尋ねると「頑張っているよ」と言ってくれました。
 否認する私に対し刑事は最後に、「一回でもいいから認めてくれ。交通違反だったと思え」と言いました。「なんですかそれは」と抗議しました。

全過程の可視化を
国民救援会も要求

 志布志事件に加え、富山・氷見冤罪事件、佐賀・北方事件と、警察の違法な取調べで、ウソの「自白」を強要され、冤罪とされた事実が、相次ぎ明らかになりました。
 しかし、これらの事件に関連して、可視化を拒否している警察庁の漆間巌長官は、「(従来の)考えを変えることは考えていない」と、なんら反省していない態度を示しました。
 二度とこのような冤罪、警察の犯罪を起こさせないために、取調べの全過程の可視化がどうしても必要です。国民救援会は、司法制度の民主的改革の一環として、ひきつづき取調べの可視化を求めていきます。

〈公選法志布志事件〉03年4月の鹿児島県議選で当選した中山信一さんと支援者など13人が買収容疑で逮捕・起訴(公判中に1人死亡)された事件。鹿児島地裁は2月23日、「脅迫的な取調べを伺わせ、自白は信用できない」などとして、全員に無罪判決を言い渡しました(その後無罪確定)。この違法捜査の中心となったのは、原口アヤ子さんが無実を訴えている大崎事件でも、関係者にウソの「自白」を強要した志布志警察署です。

 

静岡・えん罪御殿場少年事件

少年らの無罪勝ちとろう
5月21日最終弁論むけ高裁へ要請

 女子高校生のウソで強姦未遂事件をデッチ上げられた元少年が無実を訴えている静岡・えん罪御殿場少年事件は、5月21日に東京高裁で最終弁論を迎えます。
 「守る会」では、一審判決(懲役2年)を破棄させ、4人の無罪を勝ちとろうと4月25日、東京高裁への要請と、元少年の思いを綴ったビラを配りました。

「ぼくらはやってない」
元少年らの悔しさと決意

 2002年の1月、一人の女子高校生のウソと警察が作り出した、身に覚えのない架空の強姦未遂事件で逮捕され、「自白」を強制され、一旦は「ウソの自白」をさせられてしまいました。でも「ホントはやってない」と、真実に立ち返って裁判をたたかってきました。
 被告人にされて暮らしてきた5年間。一日一日をどう暮らすか、あるいは将来のことをどうしたらよいかを考える時も、それこそ片時も「被告人」とされている悔しさから解放されることはありませんでした。いてもたってもいられなくなることもずいぶんありました。無実を訴えてたたかってきた裁判も大変つらいものでした。
 それでも、この悔しさ、苦しさを耐えて、今日までなんとかがんばってこれたのは、ぼくたちを信じてくれる家族があったからです。友人たちがいたからです。「守る会」の人たちや、署名や激励を寄せてくださる全国のたくさんの方たちが支えてくれたからです。
 ぼくたちもおとなになり、それぞれ仕事にもつきました。結婚して新しい生活に踏み出した仲間もいます。働きながら、自分たちの家庭もつくりながら、新しくできた家族とも力を合わせて、「何年かかっても必ず『無罪』を勝ちとるためにがんばりぬこう」と心に固く決めています。
 ぼくたちがいま訴えたいのは「真実は一つしかない」ということです。「ぼくらはやってない」というただ一つが真実なのです。まだまだ厳しいことがつづくでしょうが、がんばります。どうか大きなご理解・ご支援をこれからもずっとお願いします。
(「守る会」のビラより)

〈無罪要請先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・中川武隆裁判長
〈激励先〉〒412―0004 御殿場市北久原566―6 勝又育夫方無実の少年たちを守る会

 

暴力による言論封殺許せぬ

長崎市長銃撃事件 国民救援会が談話

 長崎市長選の最中の4月17日夜、長崎市の伊藤一長市長が地元の暴力団員によって銃撃され、殺害される事件が起きました。
 この事件に対し、国民救援会中央本部は翌18日、山田善二郎会長名で談話を発表しました。
 談話では、冒頭、「国民救援会は、この卑劣で凶暴極まりない行為に対して、強い怒りをこめて厳しく糾弾する」と意思を明らかにした上で、伊藤市長のご遺族への弔意を述べています。
 そして、「今回の蛮行は、言論や政治活動を暴力によって封殺し命を奪うという、民主主義の根幹を破壊する卑劣・野蛮な行為であり、断じて許されない」と断じ、さらに、右翼暴力団による、60年の日本社会党・浅沼稲次郎氏の暗殺事件や、17年前の本島等長崎市長(当時)の銃撃事件、そして最近の加藤紘一衆議院議員の実家などへの放火事件を取り上げ、「自らの考えと異なる言論活動を物理的・暴力的に封殺するテロ行為……がまかり通ることになれば、自由と民主主義を根底から覆し、国民が自由にものが言えなかった戦前の暗黒時代を再び招くことになる」と指摘。「国民救援会は、警察が徹底した事件全容の究明を行い、自由と民主主義を蹂躙するこのような蛮行が絶対に繰り返されることがないように必要な処置をとることを強く求めるとともに、言論・政治活動の自由を守るために奮闘する」との決意表明で締めくくっています。

長崎県本部も声明

 事件に対し、地元の国民救援会長崎県本部も18日、「理由が何であれ絶対に許すことができない、民主主義を踏みにじる暴挙であることを、怒りをもって糾弾するものです」との、声明を発表しました。

 

少年法

改悪案が衆院で強行採決
参院で廃案に

 少年法改悪案の与党修正案が4月19日、衆議院本会議で自民・公明与党の多数で強行採決されました。修正案は「虞(ぐ)犯」の疑いのある少年への警察による調査権限の規定を削除する等、運動による一定の改善はありますが、厳罰化と警察の権限強化という問題の本質は依然そのままです。
 国民救援会は、改悪案の採決に対して、同日、山田善二郎会長名で抗議の談話を発表し、参議院で廃案を勝ちとる決意を明らかにしました。
 談話では、改悪案は、「少年に対する警察の調査権限を大幅に拡大させ、厳罰化と監視・威嚇によって少年の非行を封じ込めようとする」ものと厳しく批判したうえで、「いま、必要なのは、……少年に対しよりきめ細やかに対処できるように、児童福祉分野への人員や予算を拡充し、保護観察官も増員することである」と指摘し、参議院で廃案に追い込むために反対運動をさらに強めることを表明しています。
〈要請先〉〒100―8961 千代田区永田町1―7―1 参議院法務委員会・山下栄一委員長

 

神奈川・古本屋店主強制わいせつ事件

「被害者」証言はウソ 当時の店長が記録示し証言

 「強制わいせつ罪」「暴行罪」で起訴された古本店オーナーのAさんの公判が4月24日、横浜地裁横須賀支部で開かれ、Aさんの長女・Bさんへの尋問が行われました。
 この事件は、横須賀市内の古本店店主のAさんが、店のアルバイト店員S子の胸をさわるなどの強制わいせつ行為を行ったとして、2005年5月に逮捕・起訴された事件です。もう一人の店員T子にも強制わいせつ行為を行ったとされていますが、本人が告訴を取り下げたため、翌年になって検察が「暴行容疑」で起訴しました。
 この日証言したBさんは、当時店長として「被害者」S子と長く一緒に働いていたことから、店の状況やS子がオーナーを慕っていたこと、オーナーもどのアルバイト店員にも分け隔てなく親切にしていたことなどを証言し、店でS子が言うような「わいせつ行為」などなかったし、できる状況にもないことを明確に証言しました。
 さらに、当時の業務の記録を証拠として示し、S子が被害にあったという時間帯は、いずれも大量の古本やDVDの買取り作業をS子自身が行っていたのであり、S子の証言がウソであることは明らかであると証言しました。
 検察官の的はずれな反対尋問につづき、裁判長自ら数点にわたって補充的な尋問を行いましたが、その尋問によってBさんの証言が真実であることがいっそう明らかになりました。

 

 

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