2006年6月25日号

国公法弾圧堀越事件
無罪へ全力で
6月29日判決へ230人で集会

 東京地裁での判決が間近に迫った6月7日、「許すな言論表現の自由への弾圧を! 堀越明男さんの無罪判決をめざす6・7集会」が、東京都内で行われました。会場は230人の参加で熱気に包まれ、判決の日まで全力でたたかおうと決意を固めました。

 「国公法弾圧事件をはじめとする弾圧事件によって、社会が再び戦争への道に進んでいる。無罪を勝ちとり、戦争準備勢力に反撃するチャンスにしたい」と、全労連の国分武副議長が訴えて集会が幕を開けました。つづいて弁護団の加藤健次弁護士が公判の経過と弁護団の主張のポイントを報告。「共謀罪や憲法改悪などの動きがあるなか、この事件の社会的意義がわかりやすい時代になっている。裁判官にきっちり無罪判決を書いてもらうには、もう一押しの世論が必要だ」と訴えました。
 会場から、弾圧事件をたたかう当事者などから連帯の発言があり、世田谷国公法弾圧事件の宇治橋眞一さんは、「本来自由であるべき言論・表現活動を犯罪にしてはならない。ともに頑張ろう」と訴えました。共産党の緒方靖夫参院議員は「日本の民主主義を強めて、明日を開くたたかいにしていきたい。共にたたかおう」と連帯の挨拶を述べ、堀越さんと握手を交わしました。
 最後に壇上に立った堀越さんは、「これまで、憲法が被告人席に座っているという自覚でたたかってきた。憲法を守ることは、国家公務員の責務。『憲法を守れ』のビラを配ることは当然の義務だ。裁判所が憲法に基づいて無罪判決を出すことを期待している。ひきつづきご支援を」と訴え、大きな拍手に包まれました。
 無罪判決をめざし、全国からの要請をお願いします。
〈要請先〉 〒100―8920 千代田区霞が関1―1―4 東京地裁・毛利晴光裁判長

共 謀 罪
今国会の成立阻止
反対運動の大きな成果


 内心の自由を侵す共謀罪の新設法案は、広範な反対運動によって、今国会での成立を許さず、継続審議となりました。
 与党が圧倒的多数を力に、数度にわたり強行成立を狙う緊迫した情勢がつづきました。これに対し、野党の超党派国会議員と日弁連や日本ペンクラブ、市民団体や労働組合などが繰り返し、国会の内外で集会をもち、宣伝を行いました。その力が、マスコミを動かし、反対世論を急速に広げました。成立を阻止したことは、運動の大きな成果です。
 救援会は、広く市民団体と共同し、全労連・自由法曹団と共謀罪反対のパンフレットを作成し1万部を普及しました。また、全国各地の救援会組織・会員が、反対運動の中軸で奮闘しました。
 秋の臨時国会にむけ、共謀罪の息の根を止めるまで運動を広げましょう。

 6月13日、共謀罪新設に反対する超党派国会議員と市民の集会が都内で行われました。
 冒頭、民主党、日本共産党、社民党の国会議員が発言し、「成立を阻止したのは、まさに運動の力だ」など挨拶しました。つづいて、全労連、連合の代表(全労協の代表は紹介)、市民団体、弁護士などが次々に発言し、決意表明しました。
 

第16回裁判勝利をめざす全国交流集会
静 岡
事件の真実を広げよう
30都府県から43事件153人が集う


 すべての裁判で勝利しようと毎年開催されている裁判勝利をめざす全国交流集会(全労連・自由法曹団・救援会共催)は今年第16回を迎え、6月9日、10日、静岡・熱海市で開催され、30都府県から43事件153人が参加しました。
 自由法曹団の吉田健一幹事長の「この間のたたかいの前進を共有し合う場としよう」とのあいさつで開会。特別報告では、JMIU東日本鉄工支部の佐藤繁さん、布川事件再審請求人の桜井昌司さん、国公法弾圧堀越事件主任弁護人の石崎和彦さんが報告しました。つづいて、国際人権活動日本委員会議長の鈴木亜英さんが「国際人権水準から見た日本の裁判」と題し記念講演を行いました。
 参加者は、6つの分科会(大衆的裁判闘争のすすめ方/解雇事件/差別・不当労働行為事件/刑事裁判/再審事件/言論弾圧事件)に分かれて、経験を交流し教訓を学びあいました。
 2日目の全体会では、参加事件を代表して国公法弾圧堀越事件の堀越明男さんが声を詰まらせながら決意を表明。まとめにたった救援会の清水信之副会長は、裁判勝利のために、当事者・弁護士・支援者が団結を固めて、真実と道理をもって国民に広く訴えていこう、と呼びかけました。全労連の寺間誠治組織局長の掛け声で参加者全員で「団結ガンバロー」を行い、裁判勝利をめざし決意を固め合いました。
 ※記念講演など詳細は後日掲載

 東京・葛飾ビラ配布弾圧事件
「言論弾圧やめよ」
荒川さん 検察官に対して

 東京・葛飾ビラ配布弾圧事件の第12回公判が6月2日、東京地裁で行われ、3回目の本人尋問で、荒川庸生さんが証言しました。
 冒頭、弁護団から郵便法の改正の経緯を示す文書が提出されました。郵便物は各戸の玄関に届けるのが本来の業務ですが、エレベーターが普及していない改正当時の中層住宅では、郵政労働者に過酷な労働を強いることになるとして、例外的に1階の集合ポストの設置を決めたものです。
 本人尋問は、弁護人の尋問に荒川さんが答える形で約1時間行われました。
 弁護人の「家宅捜索の事実をいつ知りましたか」等の質問に、「事実を知ったのは弁護士からだが、3〜4日後にはじめて家族に会ったときに聞いて、非常な衝撃を受けた。あたかも重大犯罪ででもあるかのように扱い、家族には大きな恐怖心を与え、当然のことだが何も押収するものがなかった。これは『脅し』ではないか」と答えました。また、ビラ配布活動の中で多くの人とふれあい、挨拶を交わすようになり、その中で市民から相談を受け議員に紹介したことがあったこと、逮捕のために中断したビラも全部配ればアンケートももう少し増えたのではないかと語りました。
 荒川さんは、最後に「何か言いたいことはないか」と弁護人に問われて、検察官に向かって、言論弾圧事件が多発しており、担当検事が他の言論弾圧事件を担当していることも指摘して、「あなた方は言論・表現の自由を全面的に禁止しようとしているのか。いい加滅にして下さい」と、叱責するように意見を述べました。
 6月23日に検察官の論告求刑、7月10日には弁護側最終弁論が予定され、結審となります。(杉山光央)
〈要請先〉〒100―8920 千代田区霞が関1―1―4 東京地裁・大島隆明裁判長


鹿児島・大崎事件
再審をめざし現地調査
再現し無罪確信

 年内に第2次再審請求をめざす鹿児島・大崎事件の弁護団、救援会鹿児島県本部、大崎事件の再審をめざす会は6月3〜4日、現地調査を行い、弁護団8人、救援会4県本部とめざす会から16人が参加しました。
 調査では、被害者は殺されたのではなく、自転車で側溝に転落し事故死した可能性があること、判決が認定した犯行態様は不自然であることを再現実験で検証しました。自転車にマネキンを乗せた転落実験では、転落時に側溝の土手に頭部を強く打ち、それによって被害者の頚椎前面にあった重大な損傷ができる可能性があることが判明。また、被害者の当時の体型とほぼ同じ人をモデルに、犯行態様の再現実験をしました。
 参加者は、原口アヤ子さんの無罪を確信し、弁護団の「新証拠」発見への協力と10月14〜15日の全国現地調査の実施を申し合わせました。(清水信之)

職場復帰勝ちとる
福井・万所不当解雇事件
二審でも勝利判決

 株式会社ホクエツ福井が企業整理を口実に労組破壊を狙い、万所純委員長を不当解雇した事件で、名古屋高裁金沢支部は5月31日、整理解雇を無効とし賃金支払いを命じた一審判決を支持し、会社側の控訴を退けました。県労連や救援会をはじめ全国から支援をうけての勝訴です。
 判決をうけ、「早期に職場に戻せ」と連日会社へ申し入れ、6月7日の団体交渉で会社側が「継続して従業員の地位を有している」と認め、解雇を撤回させ、職場復帰を勝ちとるなど、完全勝利しました。
 万所さんから、「解雇以来、救援会のみなさんから毎年カンパや裁判勝利をめざす交流集会に参加させていただくなど、支えていただいたことに感謝します」とお礼が寄せられました。


富山・浅谷不当解雇撤回訴訟
内部告発で不当解雇
訴え認めぬ不当判決

 知的障害者更生施設「渓明園」「花椿」のずさんな管理運営の実態を改善しようと、同施設の労組委員長をしていた浅谷敬太さんが県やマスコミなどに内部告発したところ、セクハラをでっち上げられ不当解雇されました。その撤回を求めた裁判で、富山地裁高岡支部(藤田敏裁判長)は5月31日、浅谷さんと妻・友里江さんの請求を棄却する不当判決を言い渡しました。
 判決では、内部告発に対する解雇であったことを認めず、セクハラについてもその事実がなかったことを明らかにした原告側の証拠を退け、施設側の主張だけを認めました。また、同僚だった友里江さんが敬太さんと結婚し行動をともにしたことだけでいじめを受けていた事実も認めませんでした。


東京・板橋高校「威力業務妨害」事件
言論への弾圧を追認
一審有罪判決に会長声明

 一昨年3月、東京都立板橋高校の卒業式に来賓として参加した同校元教諭・藤田勝久さんが、開式前に父母に対し、国歌斉唱の際に着席をお願いしたことを「威力業務妨害」とされた事件で、東京地裁(村瀬均裁判長)は5月30日、罰金20万円の判決を言い渡しました。
 この判決に対し救援会は、31日に山田善二郎会長名で声明を出しました。声明は、裁判所の判断が、事実をゆがめ、憲法で保障された言論の自由に関連して「一定の意思の表明であっても、他人の業務を妨害していいことにはならない」と形式的に判断していることを批判し、「戦争をする国」づくりが進められているもとで、相次いでいる言論活動への弾圧の流れと軌を一にするものであると指摘。さらに、「今回の判決は、東京都教育委員会等による、子どもと教師の内心の自由をおかす日の丸・君が代の強制と、公安警察の言論・表現の自由に対する弾圧を追認したものであり、断じて許すことはできない」と抗議し、言論の自由を守るために全力でたたかうことを表明しています。




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