【声明】
 

イージス艦によるマグロはえ縄漁船衝突・沈没事件を糾弾する

 

 2月19日未明、千葉県野島崎の沖合において、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」(舩渡健艦長、7750トン)がマグロはえ縄漁船「清徳丸」(7.3トン)に衝突、沈没させるという惨事が発生した。この事件は、「自衛隊(軍隊)は国民を守らない」という本質を、あらためて白日のもとに曝したものである。日本国民救援会は、この事件における海上自衛隊・防衛省と政府・自民党の対応が、軍事最優先政策のもとで国民の安全、生命・人権を著しく軽視した冷酷かつ浅薄極まりないものであることに対して厳しく抗議し、糾弾する。

1 「あたご」と防衛省は、その釈明の矛盾を突かれて虚偽がばれるまで「ウソ」を通す態度を貫いている。最初の発見は「2分前」から「12分前」に変更され、また、最初の視認は「清徳丸」の「緑色灯」(右舷)から「赤色灯(左舷)と白灯(マスト)を右前方に見た。最初の緑色灯は別の船だった可能性」と訂正した。さらに、発見後、衝突回避のために海上衝突予防法の定めにもとづいて右旋回したと述べていたものが、実際には旋回措置はまったくとっていないことが明らかとなった。そして、「清徳丸」が所属している新勝浦市漁協の、「遅くとも30分前には『あたご』のレーダーは『清徳丸』を含む漁船団を捉えていた可能性がある」との指摘には、いまも口をつぐんだままである。
  このような態度の裏には、情報を隠して出さないという牢固たる軍事秘密主義がある。「あたご」と防衛省によれば、イージス艦は演習時などにはレーダー記録を残すが、通常の航行時には記録しないこともあるとして、「あたご」のレーダー記録は保存されていなかったとするが、到底信用しがたい。20年前の7月、潜水艦「なだしお」が浦賀水道で、大型釣り船第1富士丸に衝突、30人が犠牲になった事件では、「なだしお」の航海記録等の改竄が糾弾されたが、こうした軍事秘密主義がまったく是正されていない。そればかりか、今回においては、海上自衛隊・防衛省(山崎郁夫幕僚長)が、安否を気遣う親族に対して「報道陣の取材には応じないように」という趣旨の発言まで行って、この秘密主義を国民に強要している。
  さらに、今回の事件で明らかになった恐るべき事実は、海上自衛隊の艦船が法(海上衝突予防法)を遵守せず、衝突回避義務がある場合でも回避措置をとることなしに、「海の安全・人命より軍事優先」の態度を貫いていることである。大型タンカーや貨物船を含む一日平均500〜700隻が通過するという浦賀水道を目前にし、かつ漁船団なども日常的に航行している沿岸海域において、自動航法のままで漁船団に突っ込んでいった「あたご」の航行が、これを如実に語っている。これではまるで「そこのけ、そこのけ、大名の駕籠が通る」ではないか。

2 このような海上自衛隊・防衛省の理不尽な態度を、政府・自民党は「戦争をする国」づくりの推進策のなかで後押ししている。
福田首相をはじめとする閣僚や自民党は、人命救助や事故原因の糾明よりは、もっぱら連絡体制の不備を問題にして恥じない。また、「あたご」の「発見遅れ」について、渡辺喜美行政改革担当相は「万が一これが自爆テロの船ならどうするのか」と言ってのけた。自爆テロの船なら大変だったが、漁船でよかったと言うのか。さらに、自民党の笹川尭衆院議院運営委員長は、漁協の仲間が漁繁期の漁労を返上して、連日必死の捜索を続けている最中に、「救命胴衣を着けていないので恐らく生存の可能性はない。なかなか発見も難しい」と放言している。これらの言動にみられる軍事最優先による国民の安全、生命・人権を著しく軽視する態度は、必然的に政治の貧困と浅薄さを浮きぼりにするものであり、広範な国民の怒りを集めているのは当然である。

3 日本国民救援会は、徹底した捜索および漁協関係者も対象とした救援策とともに、速やかな真相糾明と責任追及を強く求めるものである。

 
2008年2月24日
 
日本国民救援会中央本部
                               会長 山田 善二郎