【抗議声明】

葛飾マンションビラ配布弾圧事件
無罪判決を覆して有罪とした東京高裁に強く抗議する

 12月11日、東京高裁第6刑事部(裁判長池田修、裁判官稗田雅洋、吉井隆平)は、葛飾ビラ配布弾圧事件の被告人・荒川庸生さんにたいして、2006年8月28日に東京地裁が言い渡した無罪判決を覆して、罰金5万円の有罪判決を言い渡した。
事件発生の直後から、荒川さんの裁判闘争を支援してきた日本国民救援会は、怒りをもって不当判決に抗議する。
この事件は、民間の分譲マンションの各戸ドアポストに、日本共産党東京都議団および葛飾区議団が発行した議会報告、住民アンケートなどを投函する目的でマンション内に立ち入ったことを、「住居侵入」として長期勾留のうえ起訴されたものである。一審の無罪判決は、「一般的には、社会通念上、本件のようなマンション内に立ち入ってするビラ配布が当然刑罰をもって禁じられている行為であるとの社会通念が未だ確立されているとはいえない」として「住居侵入罪を構成する違法な立ち入りであるとは認められない」とした。これにたいして、検察側申立てによる控訴審では、この判断をくつがえす立証はなされなかった。加えて、公判を通して、荒川さんがマンションに立ち入りビラを配布した行為により、住民の財産権が侵されたなどの事実は示されていない。
東京高裁は、荒川さんの行ったこの行為について、一審の判決文に一言も言及せず、独断的に事実を認定、解釈などして、荒川さんを有罪とした。
判決は、「憲法21条1項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を是認するもの」と言明した上で、「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の財産権などを不当に害することは許されない」としているが、荒川さんが当該マンションに立ち入ってビラを配布した数分間に、そのマンション住民の財産権にどのように損害を与えたのかということについての指摘も論証も全くなされていない。
判決は、「公共の福祉」のためとして憲法の保障する言論・表現の自由を制限するものであり、憲法の番人・人権の砦として国民から付託されている裁判官の責務を放棄するものである。この国を「戦争をする国」にする政治と連動して、国民監視を強め、言論弾圧や多くの人権侵害事件を引き起こしている警察・検察に加担する裁判官を断じて許すことができない。
日本国民救援会は、東京高裁第6刑事部の裁判官全員に抗議するとともに、最高裁での勝利のために、荒川さん、弁護団、「ビラ配布の自由を守る会」をはじめとした多くの支援者と堅く団結し、組織を挙げてたたかうことを宣言する。

  

2007年12月12日
 
日本国民救援会中央本部